韓国のゲーム産業で成長と輸出の伸びが鈍化する中、K-カルチャー市場を2030年までに400兆ウォン規模へ拡大する政府目標の達成には、制作費税額控除の導入を含む政策支援の拡充が必要だとの提言が出た。
28日にソウル・汝矣島の国会議員会館で開かれた政策討論会「K-カルチャー400兆達成に向けたゲーム産業の役割と政策的位相強化」では、税制、政策金融、グローバル展開支援を連動させた支援策の必要性が主な論点となった。ゲーム各社がAI導入やコンソール、マルチプラットフォーム展開で活路を探る一方、開発費の上昇と投資縮小に伴うリスクを個社だけで吸収するのは難しいとの見方が示された。
韓国コンテンツ振興院のソン・ジン政策研究本部長は、「ゲームはコンテンツ産業全体の売上高の約15%、輸出の60.4%を占める一方、今年のコンテンツ産業予算に占めるゲーム分野の比率は6.9%にとどまる」と指摘した。
韓国政府は2030年までにK-カルチャー市場規模を400兆ウォン、輸出額を1100億ドル(約16兆5000億円)へ拡大する目標を掲げている。これを達成するには、今後5年間で市場規模が年平均7.86%、輸出額が同8.91%成長する必要がある。
ソン氏は、現行の予算規模が続いた場合、2030年のコンテンツ産業売上高は約206兆ウォン、輸出額は187億ドル(約2兆8050億円)にとどまると試算した。予算を毎年10%増やしても、売上高は約215兆ウォン、輸出額は約191億ドル(約2兆8650億円)にとどまり、目標達成は難しいとの分析を示した。
その上で「追加の政策介入がなければ、K-カルチャー目標の達成は困難だ」とし、「政府予算と政策は、民間のイノベーションや投資、グローバル市場環境の改善を促す触媒として機能すべきだ」と述べた。
韓国のゲーム産業はこれまでコンテンツ輸出を主導してきたが、足元では成長の勢いが弱まっている。2025年のゲーム産業売上高は約24兆1000億ウォンと推計される一方、前年比成長率は1.1%にとどまった。輸出額も2023年に6.5%減少して以降、緩やかな回復にとどまっているという。
ソン氏は、成長鈍化の要因として、利用者数の減少、長期ヒット作中心への市場再編、開発費の増加と開発期間の長期化、モバイル中心の事業モデルの限界を挙げた。加えて、中国市場への参入制約や、一部大手企業への依存が大きい輸出構造、ジャンルやプラットフォームの多様化不足も輸出拡大の足かせになっていると説明した。
こうした制約を乗り越えるには、モバイル分野の競争力を維持しつつ、コンソール対応とマルチプラットフォーム戦略を強化することが重要な課題だとした。
また、「グローバル市場で通用するコンテンツを継続的に生み出すには、投資と制作が循環する構造が前提になる」とし、「制作費の増加、収益性の悪化、投資誘致の停滞を踏まえると、補助金や政策金融、税制支援など、コンテンツ産業の特性に合った制度設計が必要だ」と述べた。
制作費税額控除を導入した場合の経済効果については、5年間で約1兆4553億ウォンの付加価値誘発、約2兆2550億ウォンの生産誘発が見込まれ、就業者数も約1万5000人増えると試算した。減税に伴う税収減を織り込んでも、経済的な純便益は約2780億ウォンに上るとしている。
討論会では、企画財政部が「ゲーム業界は研究開発(R&D)費の税額控除を受けているため、制作費税額控除の追加導入は難しい」とみる論理への反論も出た。法律事務所Yulchonのチェ・ジョンソン租税対応チーム長は、「税額控除は企業に現金を払い戻す制度ではなく、実際に利益が出た場合に税負担を軽減する仕組みだ」と説明。「制度が存在するだけで、企業が実質的な恩恵を受けたとは言えない」と述べた。
さらに、「R&D税額控除を実際に活用したということは、企業が研究開発を行い、控除を適用できるだけの利益を上げたことを意味する」とした上で、「税額控除は投資と雇用を促す制度であり、多く活用したからといって過剰な支援を受けたとみるべきではない」と語った。
その上で「税額控除は、事業が成功した際に投資家が回収できる利益を増やし、追加投資を呼び込む仕組みだ。必要なのは結果の保証ではなく、投資と挑戦の機会だ」と強調した。
韓国ゲーム産業協会のチェ・スンフン政策局長は、AI転換が進む局面で、企業が雇用と投資を維持できるようにする税制設計が必要だと主張した。
チェ氏は「統合雇用税額控除を強化し、企業がAIを導入した後も雇用を維持・拡大できるようインセンティブを与えるべきだ」と述べた。「人員を削減するのではなく、同じ人員でより多くのゲームを生み出し、北米、欧州、日本といった高付加価値市場に挑戦すべきだ」とも語った。
資金調達手段の拡充策としては、ゲーム企業向けの上場特例導入も提案された。直近12年間にKOSDAQへ上場したゲーム企業は13社にとどまり、同じハイリスク・ハイリターン産業とされるバイオ企業の146社との差が大きいと指摘。興行性と成長性が確認された新興ゲーム会社がIPOを通じて後続開発資金を確保できるよう、別途の評価基準が必要だとした。
政府も、インディーゲームや中堅ゲーム会社への制作支援、グローバル展開支援を拡大する方針を示した。文化体育観光部のチェ・ウォンソクゲームコンテンツ産業課長は、インディーゲーム支援を広げるとともに、ゲーム産業の「中間層」を担う企業を育成するため、より大規模な制作費を支援する別枠を来年新設する予定だと明らかにした。
あわせて、6月にNexonと共同で組成した1200億ウォン規模のゲーム分野ファンドと、新たに導入する融資事業を通じて、ゲーム企業の資金調達を後押しする方針も示した。北米、欧州、中国に加え、南米や東南アジアなどグローバルサウス地域への進出支援を強化し、制作費税額控除の導入に向けた関係省庁との協議も継続するとした。
討論会を主催した祖国革新党のキム・ジェウォン議員は、「ゲーム制作費税額控除とIP保護、グローバルマーケティング支援を強化し、投資と創作が好循環する産業エコシステムを整えるべきだ」と述べた。その上で、「討論会で出た意見を国会での立法や予算議論に反映させる」と語った。