米民主党の下院議員12人がCLARITY法案への「条件付き支持」を表明した(写真=Reve AI)

ニューヨーク州のレティーシャ・ジェームズ司法長官は27日、米議会で審議が進む暗号資産の市場構造法案「CLARITY Act」について、州政府の監督・執行権限を弱めるおそれがあるとして懸念を示した。連邦レベルで規制の枠組みを整備する場合でも、詐欺捜査や消費者保護に関する州の権限は維持すべきだと訴えている。

ブロックチェーンメディアのCointelegraphによると、ジェームズ氏は米上院常設調査小委員会に提出した書面証言で、同法案が暗号資産市場に対する州の規制権限を事実上空洞化させ、監督権限を米商品先物取引委員会(CFTC)に集中させる可能性があると指摘した。その結果、州や地方当局の調査・法執行能力が損なわれかねないとしている。

ジェームズ氏は、連邦の規制体制を整えること自体に反対しているわけではないとしたうえで、消費者保護の観点から州政府の役割は不可欠だと強調した。議会は暗号資産企業に対する監督を強化すべきだが、詐欺捜査やプラットフォームの責任追及に必要な州の権限まで縮小すべきではないとの立場を示した。

背景には、暗号資産関連の被害拡大がある。ニューヨーク州司法長官室に寄せられた暗号資産詐欺に関する苦情は、直近3年間で約3倍に増加した。過去5年間に報告された被害額は約5億ドル(約750億円)に上り、ジェームズ氏は現行制度を上回る消費者保護の仕組みが必要だと説明した。

あわせて、暗号資産取引所やプラットフォームに対する規制強化も求めた。マネーロンダリング対策(AML)や顧客確認(KYC)、サイバーセキュリティ要件を義務付けるほか、市場操作や不審な取引を監視する体制を整えるべきだと主張した。さらに、プラットフォームや仲介業者が利用者を詐欺から守れなかった場合には、金銭的責任も負わせるべきだとした。

不正資金の流入を防ぐ措置にも言及した。暗号資産ミキサーに関連する、または資金追跡が困難な暗号資産を米ドルに換える行為は禁じるべきだと提案した。また、ニューヨーク州を含む各州の送金業、商品、証券に関する既存法令は維持されるべきであり、連邦立法が州の法体系に取って代わるべきではないと強調した。

規制プロセスにおける利益相反の問題も提起した。暗号資産業界に金銭的利害を持つ選挙公職者や、直近まで政府に勤務していた人物が関連規制を担えないよう、倫理基準を設けるべきだと主張した。規制当局の権限が拡大するほど、利益相反を防ぐ仕組みも強化する必要があるとしている。

今回の意見書は、米議会が暗号資産の市場構造法を通じて、連邦主導の監督体制を構築しようとする局面で提出された。業界では、明確な連邦規制の整備が市場の成長につながるとの期待がある一方、ニューヨーク州は、消費者保護と詐欺対応の最前線にある州政府の権限が弱まる可能性を主要な論点として打ち出している。

今後の法案審議では、監督権限の配分に加え、プラットフォームの責任、不正資金対策、既存の州法を維持するかどうかも重要な争点になりそうだ。ジェームズ氏が求めた消費者保護策と州権限の担保が最終法案にどこまで反映されるかが、米国の暗号資産規制の行方を占う焦点となる。

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