画像=Phaidon刊『直線は曲線に勝つ。曲線は直線に関心がない』

Phaidonは、AI時代に技術では代替できない人間の価値に焦点を当てた書籍『直線は曲線に勝つ。曲線は直線に関心がない』を刊行した。

著者のナム・ギュテク氏は、KTでマーケティング部門長を務めた経歴を持つ。同書では、変化の速さ以上に重要なのは「方向を見極める力」だと訴える。

Phaidonによると、同書の中心にあるのは、人が日々行き来する二つの世界だ。出勤して建物に入る瞬間と、退勤してそこを出る瞬間に、人は異なるルールで動く別の世界へ移るという。

職場や組織の世界では、効率や成果、目標達成が重視される。最短距離が求められ、判断ミスはすぐに評価へ跳ね返る。著者は、この世界を「直線」で表現する。

これに対し、建物の外に広がる家族や近隣、長年の友人との関係の世界は別の論理で成り立つ。そこでは、特定の到達点を示さなくてもよく、有用性を証明しなくても関係は続く。著者は、直線が常に曲線に勝つとしても、曲線はそもそも直線と同じ土俵に立たないと説明する。

問題は、この二つの世界を往復する中で、それぞれのルールを取り違えることにあるという。組織の中では役割を担う存在として責任を果たし、仕事を終えた後は損得の計算を止め、関係の中の自分に立ち戻る必要があるとする。

その境界が入れ替わったり曖昧になったりすれば、組織では居場所を失い、関係の場では信頼を損なう。著者はそうした危うさを指摘する。

同書は、著者が35年にわたり、この二つの世界の境界を自ら行き来する中で見聞きし、体験してきたことをまとめたものだ。

扱うテーマは、哲学、科学史、組織文化、社会現象、AI、プラットフォーム資本主義まで幅広い。ただ、問いは一つに集約される。「今この瞬間、自分はどの世界のルールで生きているのか」という点だ。

技術が効率性と利便性を掲げ、生活のあらゆる領域を再編する中で、同書は、考え、共感し、責任を担う存在としての人間とは何かを問い直す。AIが判断や選択の領域にまで入り込む時代にあって、技術では置き換えられない人間固有の価値を示したとしている。

ナム・ギュテク氏はこれまでに、企業での経験をまとめた『最も低いマーケティングの話』、文系の視点からAIの概念を平易な言葉で解説した『文系の言語で解いたAI必須用語56』も刊行している。

今回の新刊は、技術や経営戦略ではなく、人や社会、共同体への問いを収めた3冊目の著作に当たる。会議室や道端、新聞記事で出会った場面への違和感や温かさ、ふと浮かんだ疑問を、各章2〜4ページの短いエッセーとしてまとめた。

ナム・ギュテク氏は「社会を変える方法を設計できたわけではない。ただ、考えるための温度だけは残したかった」とコメントしている。

著者は延世大学校経済学科を卒業し、KAISTで経営科学の修士号を取得した。KTのマーケティング部門長、KTCS社長を歴任し、現在は都市航空交通(UAM)企業Ghenus AirでVice Chairmanを務めている。

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