英国北部では、夏に日照時間が増えても、高齢者や肌色の濃い成人ではビタミンD不足が十分に改善しない可能性があることが分かった。英ニューカッスル大学の研究チームが、臨床試験の事前検査データを分析した結果として28日に公表した。
今回の分析は、同大学の別の研究チームが進めていた、ビタミンDサプリメントの投与方法を比較する臨床試験の事前検査データに基づくもの。対象は2024年12月から2025年8月に検査を受けた299人で、65歳以上の成人、または18歳以上で肌色が比較的濃い成人だった。後者は、日光に対する皮膚反応を分類するフィッツパトリック皮膚型でIV〜VIに該当することが条件だった。
検査では指先から少量の血液を採取し、専門検査機関がビタミンDの状態を示す25OHビタミンD濃度を測定した。研究チームは50ナノモル/リットル(nmol/L)未満を基準未満と定義し、31〜49nmol/Lを不足、30nmol/L未満を欠乏に分類した。
65歳以上の群では、基準未満の割合は2025年5月に25.0%まで低下したものの、その後は再び上昇した。6月は63.4%、7月は47.8%、8月は55.5%で、6〜8月平均は55.6%だった。夏に向けてビタミンD値が改善するという一般的な見方とは異なる結果となった。
一方、肌色の濃い成人の群では、改善傾向はさらに乏しかった。基準未満の割合はすべての月で64.0%以上となり、6月は69.3%、7月は75.0%、8月は83.3%だった。冬から夏にかけて低下する傾向は確認されなかった。
研究チームは、ビタミンDは食事から摂取できるほか、皮膚が紫外線Bを受けることで体内でも合成されると説明している。ただ、合成能力には個人差がある。高齢者では皮膚で生成される量が少なくなり、肌色の濃い人ではメラニンが紫外線Bをより多く遮るため、同じ量のビタミンDを作るにはより長い日光曝露が必要になるという趣旨を示した。
共同研究者のバーナード・コフ氏は、今回の結果で最も注目すべき点として、夏場でも月別の検査結果に明確な改善がみられなかったことを挙げた。ビタミンDの回復が期待される時期にもかかわらず、数値が良くなる傾向は確認できなかったとしている。特に北部イングランドのような地域では、高齢者や肌色の濃い成人が日光だけで十分なビタミンDを合成するのは難しい可能性があると指摘した。
もっとも、研究には限界もある。今回の分析は、冬から夏まで同じ人を追跡したものではなく、各月に検査を受けた別々の参加者のデータを比較した。また、参加者ごとに実際にどの程度日光を浴びたかは測定していない。このため研究チームは、個人ベースでみて、夏に日光を浴びてもビタミンDが増えなかったと断定することはできないとしている。
今回の結果は、夏の日照増加がそのままビタミンD状態の正常化につながるとは限らないことを示唆している。とりわけ英国北部の高齢者や肌色の濃い成人では、季節要因だけで不足が解消するのかを見極めるため、より精密な追跡調査が必要になりそうだ。