ビットコインの採掘難易度が、2026年に通年で初めて低下する可能性が浮上している。採算悪化に加え、電力コストの上昇で採掘機器の停止が広がっており、ネットワーク全体のハッシュレートも過去最高から約2割低い水準にある。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが27日(現地時間)に報じたところによると、採掘難易度は2025年末の148兆3000億から、足元では126兆2000億まで低下している。
年末時点で通年の純減が見込まれるのは、ビットコインのネットワーク開始以来初めてだという。ただ、年末までに自動難易度調整が5回残っており、最終的な水準はまだ確定していない。
ビットコイン価格が持ち直し、停止していた採掘機器が再稼働すれば、年末の難易度が2025年末の水準を上回る可能性もある。
背景には、採掘事業者の採算悪化がある。ビットコイン価格は年初来で26%下落し、業界収益は半減した。
Onchainmindの推計では、ビットコイン1枚当たりの平均採掘コストは7万6100ドル(約1142万円)。これに対し、市場価格は6万5000ドル前後(約975万円)にとどまっている。
採掘事業者が赤字圏に入るなか、設備の稼働を止める動きが広がっている。
気象要因も重なった。2月ごろに米国を直撃した超大型ハリケーン「Fun」に加え、テキサス地域の夏場の猛暑で電力コストの負担が膨らんだ。
一部企業は電力料金の急騰を避けるため、ASIC(特定用途向け半導体)採掘機の稼働を停止した。この結果、ネットワーク全体のハッシュレートは過去最高比で約20%低下している。
一方で、こうした局面ではビットコインの難易度調整メカニズムが機能する。アルゴリズムが難易度を引き下げることで競争が緩和され、比較的安価な電力を確保している採掘事業者の収益性を下支えする構造だ。
オンチェーン指標も市場の注目を集めている。Puell Multipleは現在、17パーセンタイルまで低下している。
この指標は、非効率な採掘設備が市場から整理される最終局面と重なりやすいとされる。市場参加者が、難易度の低下と採掘事業者の「降伏」を価格底入れの主要シグナルとみる背景にある。
採掘関連株と現物市場の値動きが乖離している点も目立つ。従来型のビットコイン採掘は収益圧迫に直面する一方、採掘関連の一部銘柄はAI需要への期待から上昇基調にある。
採掘事業者の財務安定性は、ビットコイン価格よりも、AI大手に提供するサーバー計算能力に左右される構造へ変わりつつあるという。
今後の焦点は、年末まで続く難易度調整とビットコイン価格の持ち直しの有無だ。年内に価格が反発すれば、難易度の下落幅が縮小するか、再び上昇に転じる可能性がある。
一方、現状が続けば、ビットコインネットワークが採算悪化局面でも自律的に均衡を保つ仕組みをあらためて示すことになりそうだ。