ビットコイン現物ETFが2日連続の純流出となり、直前まで7営業日続いていた資金流入が一服した。2日間の流出額は合計4億6500万ドル(約698億円)で、このうち大半をBlackRockの「IBIT」が占めた。
Decryptが27日付で報じた内容やFarside Investorsの集計によると、ビットコイン現物ETFは25日に2億4000万ドル(約360億円)、24日に2億2500万ドル(約338億円)の純流出を記録した。直前の7営業日には約10億ドル(約1500億円)の資金流入があったが、今回の流出でその半分近くが打ち消された格好だ。
流入局面では20日に1日で2億2700万ドル(約341億円)が流入し、直近のピークを付けた。ただ、その後は需要が急速に鈍化した。
とりわけ流出が目立ったのはIBITだ。IBITからの流出額は2日間で計4億1500万ドル近くに達した。
もっとも、週次ではETF市場全体の資金フローはなお純流入を維持した。2日間の流出はあったものの、それ以前の3営業日に資金流入が強く、先週の純流入額は約3400万ドル(約51億円)となった。
市場では、今回の動きを短期的な資金調整とみる向きがある。HashKeyのアナリスト、ティム・サン氏は、機関投資家が一時的な安値圏で戦略的に段階的な資金配分を進めた一方で、持続的な上昇を支える力強い基盤はなお乏しいことが示されたと指摘した。
同氏は特にIBITの存在感の大きさに言及し、機関投資家がエクスポージャー拡大やヘッジに主に使う高流動性商品で大規模な流出が起きたことは、短期的にビットコインへのエクスポージャーを積極的に縮小しているシグナルだとの見方を示した。
背景には、マクロ経済を巡る不透明感がある。米国とイランの緊張再燃を受け、原油価格が1バレル100ドルを上回り、インフレ懸念が改めて強まったという。
加えて、債券市場が米連邦準備制度理事会(Fed)による年後半の追加利上げの可能性をより強く織り込み始め、リスク資産全般の重荷になったとの分析も出ている。ティム・サン氏は、こうした動きは暗号資産に限らず、米国の株式ファンドや債券ファンドでも資金流入が途切れたことに表れていると説明した。
今後の相場見通しを巡っては、市場の見方が分かれている。Grayscaleのリサーチ責任者、ジャック・パンタス氏は、Fedが追加利上げを先送りすれば、ビットコインはすでに底入れした可能性があるとみている。
同氏は、9月または10月により深い底値を付けるとする、いわゆる「4年周期説」には否定的な見方を示した。
当面の焦点は、Fedの次回利上げ判断だ。Fedは29日に政策金利を決定する予定で、CMEのFedWatchツールでは現時点で25bpの利上げ確率が34%と見込まれている。
金利見通しが一段とタカ派に傾けば、ビットコインには追加の資金流出や下押し圧力がかかる可能性があるとの警戒も出ている。
Algoz Technologiesで戦略・営業統括を務めるスティーブン・ブントケ氏も、先週までの流れは反転したとの見方を示した。ドナルド・トランプ米大統領がイラン対応の再開を示唆し、紅海周辺でのフーシ派による攻撃で原油価格が再び100ドルを超えたことで、インフレと金利を巡る懸念が再燃し、投資家が現金へ資金を戻したと述べた。
一方で、先行きについてはやや楽観的な見方も維持した。ブントケ氏は、多くの投資家が現在の価格帯を「サイクルの底値に近い水準」と捉えており、市場全体のムードも前向きだと指摘する。
米国とイランの停戦が3日目に入る中、衝突が落ち着けば原油価格は80ドル前後で安定し、インフレ懸念も和らぐことで、ETFへの資金流入とビットコイン価格が再び段階的に持ち直す可能性があるとした。ただ、同氏は8月について、暗号資産市場では通常「退屈な月」だとして、当面は大きな値動きを期待すべきではないとも付け加えた。
今回の純流出は、ビットコイン現物ETFの資金フローが暗号資産固有の材料よりも、マクロ要因により敏感に反応していることを改めて示した。特にIBITへの流出集中は、機関投資家マネーの方向転換が市場全体に及ぼす影響の大きさを浮き彫りにしている。