経済学者で、代表的なビットコイン懐疑派として知られるピーター・シフ氏が、Strategyの「ビットコイン利回り」の低下を批判し、投資家にはビットコインの直接保有を検討すべきだと訴えた。Strategyはドル準備金を37億5000万ドルまで積み増したが、新たなビットコイン購入計画は示していない。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、Strategy株はドル準備金の拡大を受け、27日の取引時間中に一時7%上昇した。ただ、市場ではビットコイン投資の代替手段としての同社株の魅力が薄れているとの見方も出ている。
論点となっているのは、Strategyがこれまで前面に押し出してきた「ビットコイン利回り」だ。同社は資本調達を通じてビットコインを買い増し、1株当たりのビットコイン保有量を高められると説明してきた。投資家にとっては、株式を保有することでビットコインへのエクスポージャーを拡大できるというのが従来の投資ストーリーだった。
しかし、シフ氏はその優位性が弱まっているとみる。同氏によれば、Strategyのビットコイン利回りはこの2カ月で13.3%から4.5%へ低下した。シフ氏は「MSTRの強みが失われるなら、なぜ企業固有のリスクを負う必要があるのか。強気なら、むしろビットコインを直接保有した方がいい」と主張した。
こうした議論の背景には、Strategyの財務運営の変化がある。同社は現在84万3775BTCを保有する一方、配当や債務など多くの支払い義務はドル建てだ。このため、流動性確保に向けてドル準備金を積み上げてきた。
マイケル・セイラー会長は同日、ドル準備金を5億2500万ドル積み増し、総額を37億5000万ドルに拡大したと明らかにした。ただし、新規のビットコイン購入計画には言及しなかった。
一部の投資家は、今回の対応を財務の安定性を高める措置と受け止めている。確保した資金は、優先株の配当やその他の義務を2年以上賄える水準とされる。短期の支払い余力をドルで確保しつつ、ビットコインは長期保有資産として維持する構えだ。
また、Strategyは軟調な推移が続いていたSTRC優先株を2500万ドル相当買い戻した。追加のビットコイン購入よりも、流動性の補強と資本構成の管理を優先した形だ。
市場の評価は割れている。シフ氏は中核となる投資論理が揺らいでいると批判する一方、優先株を活用した資金調達の枠組みを評価する声もある。The Smarter Web CompanyのCEO、アンドリュー・ウェブリー氏はX(旧Twitter)で、「優先株資本で構築したこの仕組みは、これまで登場したビットコイン企業の財務分野における最も重要なイノベーションだ」と投稿した。
今後の焦点は、Strategyがドル流動性の拡大とビットコイン蓄積戦略をどう両立させるかにある。Strategy株の保有がビットコインの直接保有より有利だとする従来の投資ストーリーを維持できるのか、それとも企業固有の財務リスクが改めて意識されるのかが、今後の評価を左右しそうだ。
シフ氏はXへの投稿で、「なぜ今朝、$MSTRが7%上昇しているのか。セイラー氏の最新の動きで、年初来のビットコイン利回りは4.5%に低下した。5月25日時点では13.3%だった。2カ月で約66%減だ。このペースなら、2026年のビットコイン利回りはマイナスになる」と指摘した。