米国株式市場で27日、AIインフラ株に向かっていた資金の一部が暗号資産関連株にシフトし、関連銘柄が上昇した。一方で、ビットコイン採掘株は資金調達への警戒感から軒並み下落した。米CNBCが報じた。
上昇を主導したのはBitmine Immersion Technologiesで、株価は11%高だった。同社は最新の開示で、イーサリアム保有量を約1万枚積み増したと発表した。足元の価格で約1940万ドル(約29億円)に相当する。同じくイーサリアムの財務戦略を掲げるSharpLink Gamingも6%上昇した。
このほか、Coinbase Global、BitGo、Figure Technologiesも4~6%上昇した。ビットコインを財務資産として積み増すStrategyは、追加購入を見送る一方で手元資金を5週連続で積み増した後、7%高となった。
ステーブルコイン発行のCircle Internet Groupは、ブロックチェーン関連を含むIBMの特許ポートフォリオを取得したと明らかにし、2%上昇した。対象には世界で1000件超の特許が含まれる。取得条件は公表していない。
こうした値動きの背景には、原油相場の急落や米国債利回りの低下に加え、メモリ半導体を含むAI関連株全般でリスク回避姿勢が強まったことがある。ClearStreetのアナリスト、オーウェン・ラウ氏は、中国の半導体企業との競争激化や、繰り返しの資金調達に対する懸念がAIインフラ株の見直しにつながり、その結果、資金が暗号資産など別のテーマに向かったと指摘した。
一方、AI関連株との連動性が意識されやすいビットコイン採掘株は下落が目立った。Cipher Miningは8%安と下落率が最も大きく、Hut 8は6%安、TeraWulfは4%安だった。専業の採掘株も軟調で、Riot Platformsは5%安、MARA Holdingsは3%安、CleanSparkは4%安。ビットコイン採掘比率を大きく引き下げたCore Scientificも9%下落した。
市場では、採掘企業が単なるビットコイン生産会社ではなく、電力容量やデータセンター資産、エネルギー契約を持つデジタルインフラ銘柄として見直されている。このため、MARA HoldingsやRiot Platformsといった専業の採掘株も、テーマ型バスケットやセクターETF、アルゴリズム取引の中でAI関連銘柄と同じ方向に動きやすくなっている。
Compass Pointのシニアリサーチアナリスト、マイケル・ドノバン氏は、この日の軟調な値動きについて、資本支出負担に加え、採掘・AI関連企業が開発パイプラインを維持するため、より高いコストで追加資金の調達を迫られる可能性を織り込んだ面があると指摘した。
ドノバン氏はまた、NVIDIAがオハイオ州の新規AIデータセンター賃貸計画を巡り、OpenAIへの財政支援を協議している点にも言及した。AI投資の拡大を支えるうえで、信用供与の役割が一段と大きくなっていることを示していると説明した。
そのうえで、一部の投資家は、こうしたプロジェクト向けの信用需要が限界に近づいていないか、またどの開発事業者が大規模な株式希薄化や高金利の負債、顧客や戦略パートナーからの追加支援なしに資金を確保できるのかを見極め始めていると述べた。こうした懸念は短期的に採掘・AI関連グループ全体の重荷となり得る一方、AI計算インフラ分野そのものは依然として魅力的で、構造的な供給制約がある市場だとも付け加えた。
暗号資産そのものの値動きは、関連株ほど大きくなかった。ビットコインは6万5000ドル(約975万円)を下回る水準でもみ合い、イーサリアムは1900ドル(約28万5000円)前後で1%超上昇した。この日の物色は、コイン価格の急騰よりも、AIインフラ株から流出した資金の受け皿として暗号資産関連株が選ばれた点が目立った。