写真=Samsung ElectronicsのDS部門拠点とSK hynixのHBM4構造モデル

メモリー市場の関心が、29日のSK hynix、30日のSamsung Electronicsによる2026年4〜6月期決算発表に集まっている。両社とも過去最高水準の業績が見込まれる一方、市場が重視しているのは足元の利益額そのものではない。下期もこの収益力が維持できるのか、会社側が示す需要・価格・投資の見通しが焦点となる。

Samsung Electronicsが先行開示した第2四半期の暫定業績は、連結売上高が171兆ウォン、営業利益が89兆4000億ウォン。前年同期比では売上高が129.31%増となり、前四半期比でも売上高は27.74%、営業利益は56.21%それぞれ増加した。上期累計では売上高304兆8700億ウォン、営業利益146兆6300億ウォンとなった。全社ベースの営業利益率は52%に達しており、半導体に加えてモバイルやディスプレイを含む全社業績であることを踏まえると、メモリー事業の採算性はさらに高いとの見方がある。

SK hynixについては、第2四半期の売上高が87兆1000億ウォン、営業利益が67兆6000億ウォンとなる見通しだ。前年同期比ではそれぞれ292%増、638%増で、営業利益率は77%を超える水準になるとみられている。証券業界では、6月の為替変動分を織り込み、業績予想を小幅に引き上げたという。

今回の決算で注目されるのは、利益の規模以上にその中身だ。第1四半期まではHBMが業績拡大の主因だったが、第2四半期は汎用DRAMとNANDフラッシュの市況も改善した。HBM向けに生産能力が振り向けられたことで汎用品の供給が絞られ、価格上昇につながったためだ。

SK hynixはHBMの売上構成比が高く、一般DRAMの値上がりによる恩恵は競合より限定的との見方もある。一方で、高性能DRAMや企業向けSSDを中心とする製品構成が収益性を支えている。データセンター向けストレージ需要はHBMとは異なる軸で動くため、NAND事業の寄与度は今回の好況の広がりを測る指標となりそうだ。

もっとも、市況の先行きを巡る見方は分かれている。Morgan Stanleyなど一部の海外投資銀行とTrendForceは、汎用DRAMの契約価格の上昇幅が前四半期比で鈍化している点を踏まえ、価格上昇の勢いはピークに近づいているとの見方を示している。価格が上昇している局面と、その上昇ペースが加速する局面は別だという考え方だ。

これに対し、強気見通しの根拠として挙がるのが長期供給契約(LTA)の拡大だ。Goldman SachsやCitiは、ビッグテック顧客との3〜5年契約の比率が高まり、単価変動の振れ幅が過去のメモリーサイクルより小さくなったと分析する。スポット価格が動いても、業績が同じ幅で変動しにくい構造になっているという見立てだ。

その検証材料となるのが、今回の決算説明会で示される下期ガイダンスだ。両社が第3四半期のDRAM、NANDの平均販売単価(ASP)見通しや、LTAの反映比率をどこまで開示するかによって、市況ピークアウトを巡る見方は大きく左右される可能性がある。契約構造が数値で確認されれば、価格上昇の鈍化そのものが業績変動要因として持つ意味合いは薄れる。

HBM4への移行も、下期の重要な論点となる。下期以降のHBMは、ベースダイにファウンドリのロジック工程を組み込む構造へ移行する。SK hynixがこれまで70%超の営業利益率を維持できた背景にHBM3Eでの供給優位があったとすれば、HBM4ではファウンドリとの協業コストが新たに原価へ反映されることになる。TrendForceも、この構造転換を下期の注目点に挙げている。

利益率を維持するには、増加する原価を販売価格に転嫁できるかがカギとなる。HBM4は顧客ごとの仕様を反映するカスタム性が強く、価格交渉力が従来より高まるとの見方もある。ただ、実際にどこまで採算を確保できるかは、下期の供給量が固まるまで見極めにくい。次世代パッケージングで歩留まりを安定させられるかも重要な論点だ。

Samsung Electronicsでは、別の観点から確認が必要になる。HBM4の品質テスト通過時期、主要顧客向け量産の立ち上がり時期、1b・1cナノ工程の歩留まり安定化が一体で問われるためだ。加えて、ファウンドリやSystem LSIを含む非メモリー事業の収益改善がどこまで進むかも、30日のカンファレンスコールでの確認事項となる。メモリーとファウンドリの両方を持つ事業構造が、HBM4時代に原価面での優位性として機能するかも焦点となる。

設備投資の動向も見逃せない。需給逼迫がどこまで続くかを左右するのは、需要そのものよりも供給側の増設ペースだとの指摘がある。Omdiaなどの調査会社は供給不足が2027年まで続くと予測しているが、これは両社が汎用DRAMラインのHBM転換比率を調整し、全体の生産能力増強を抑えることが前提になっている。下期の設備投資執行ペースや新工場の稼働日程が注目されるのはそのためだ。あわせて、ビッグテック各社のAIデータセンター投資が現在のペースを維持できるかも検証が進む見通しだ。

前年同期比で大幅な増益となっている点は、比較対象となる前年の利益水準が低かったことの裏返しでもある。すでに業績規模の大枠は示されているだけに、市場の視線は営業利益の絶対額より、下期ガイダンスの具体性に向かいそうだ。

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