ビットコインは一時6万5700ドル台まで反発したものの、中東情勢の緊迫化を受けた原油高と米国債利回りの上昇が重荷となり、上値の重い展開が続いている。市場では、来週予定される米国のCLARITY法案審議と米連邦公開市場委員会(FOMC)が、短期的な相場の方向感を左右するとの見方が強まっている。
ブロックチェーンメディアのCoinPostによると、bitbankの市場アナリスト、ハセガワ・ユウヤ氏は26日、来週のビットコイン相場の注目材料として、米議会でのCLARITY法案を巡る議論と、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策判断を挙げた。
ビットコインは週初、ホワイトハウスと米上院の主要議員がCLARITY法案の倫理条項の調整を進めているとの期待から上昇を試した。21日には、ホワイトハウスが同条項を巡って合意したとの報道を受け、一時6万6630ドル近辺まで買われた。
ただ、上昇は長続きしなかった。米国とイランの軍事的緊張が高まるなか、国際原油価格と米国債利回りがそろって上昇し、ビットコインも22日以降は上昇の勢いが鈍った。CLARITY法案の審議が想定より遅れていることもあり、利益確定の売りが出やすくなった。
ビットコインは6万6000ドル台を維持できず、23日にはAlphabetの決算発表を受けた人工知能(AI)投資の過熱懸念も重なって軟化した。中東情勢への警戒感が強まった米市場では原油高が一段と進み、ビットコインは一時6万4800ドル近辺まで下落した。その後は自律反発で6万5400ドル水準を回復したが、週初からの上げ幅の半分程度を失った格好だ。
次の焦点はCLARITY法案の審議だ。米議会は8月7日から夏季休会に入る予定で、法案審議に充てられる時間は限られている。ホワイトハウスは、連邦政府高官による暗号資産事業への関与を制限する倫理条項について共和党とは合意した一方、民主党との調整はなお続いているとされる。
ハセガワ氏は、本会議採決に向けた具体的な日程が示されれば、法案成立への期待が再び高まる可能性があると指摘する。その場合、規制の不確実性が和らぐとの見方が、ビットコイン相場の下支え材料になり得るという。
マクロ面では、FOMCがより直接的な変動要因とみられている。市場では7月会合で政策金利が据え置かれるとの見方が基本シナリオだが、前回FOMC以降、米国とイランの対立激化を背景にエネルギー価格が大きく上昇した点は重荷となっている。米国の6月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)は市場予想を下回ったものの、原油高が続けば先行きの物価を再び押し上げかねないとの懸念は残る。
FRB内部では、インフレはすでにピークを越えたとの見方も一部にある。一方で金融市場は、年末までに2回の追加利上げの可能性を織り込んでいる。このため今回のFOMCでは、据え置き自体よりも、声明文や記者会見で追加利上げの可能性を示唆するシグナルが出るかどうかが最大の焦点となる。
FRBがインフレリスクへの警戒を強めれば、米国債利回りとドルが一段高となり、ビットコインには逆風となる可能性がある。リスク資産全般の投資家心理が冷え込む展開も想定される。
一方、原油高が落ち着き、FRBが従来の慎重姿勢を維持すれば、市場に織り込まれている引き締め観測がやや後退する可能性がある。これにCLARITY法案を巡る好材料が加われば、ビットコインが再び6万7200ドル水準の回復を試すとの見方も出ている。
来週のビットコイン相場は、暗号資産規制と米金融政策という2つの材料を同時に織り込む展開となりそうだ。CLARITY法案の審議が進まず、FRBが追加引き締めの可能性を強く示唆すれば、利益確定売りが強まる可能性がある。反対に、議会審議が具体的に進展し、FRBが利上げを急がない姿勢を維持すれば、足元の下値を固めつつ、再度の反発を試す余地がある。