資産運用会社Hashdexは、Nasdaq CME Crypto Indexに連動する上場投資信託(ETF)「NCIQ」で、保有する暗号資産の一部をステーキングに活用する。投資家への還元は、年率0.25%相当の純ステーキング収益を超えた分に限られ、それまではHashdex側が優先的に収益を受け取る仕組みとなる。
CryptoSlateが26日付で報じた。公開された資料によると、NCIQの普通株投資家がステーキング報酬を受け取るには、年次の純ステーキング収益が所定の基準を上回る必要がある。
焦点となるのは収益配分の設計だ。23日付の投資説明書補完書類によれば、まずステーキング事業者が総報酬から手数料を受け取る。残る純ステーキング収益は、Hashdexが保有する非公開のスポンサー株式1株に対して優先的に配分される。
この基準は、普通株の純資産価値(NAV)の年率0.25%に相当するドル建て金額だ。この水準までは、純収益の100%をHashdexが取得する。
これを超えた分については、Hashdexに40%、トラストに60%を配分する。トラストに配分された分が、普通株投資家に帰属する。純ステーキング収益が年率0.25%相当以下にとどまった場合、投資家への配分は発生しない。
Hashdexは、この仕組みが従来の年率0.25%の運用報酬とは別建てであると明記した。スポンサー株式から生じる収益は、NCIQの年間管理手数料とは相殺しないとしている。
資料では配分例も示した。事業者手数料控除後の純ステーキング収益が、普通株NAVの年率1%に達した場合、普通株投資家向けにトラストが受け取る分は0.45%となる。Hashdexは最初の0.25%に加え、残る0.75ポイントの40%を受け取るため、合計0.55%を確保する計算だ。ただし、これはあくまで例示であり、想定利回りや実際の収益を示すものではないとしている。
ステーキングはまだ開始していない。23日に提出した8-Kによると、初期事業者にはCoinbase Cloudを指定した。準備が整い次第、速やかに開始する予定という。もっとも、実際の収益水準は、どの資産をどの程度ステーキングに回すかによって変動する見通しだ。
現時点の組み入れ比率では、ステーキング対象となり得る主要資産はEthereumが11.75%、Solanaが3.17%、Cardanoが0.49%で、合計15.41%を占める。ただし、これは実際のステーキング比率を示すものではない。Hashdexは、ファンド全体のNAVに対して10〜20%を目標レンジとして示している。
資産ごとに手数料体系も異なる。NCIQの商品ページによると、Ethereumではステーキング総報酬に対して8%の手数料、Solanaでは8%のバリデーター手数料、Cardanoでは5%のバリデーター手数料を見込む。最終的に投資家に帰属する収益は、採用するネットワークや各ネットワークの報酬率、差し引かれる手数料によって変わる。
ステーキング特有の制約もある。アンボンディングの過程では資産が一時的にロックされる可能性があるほか、バリデーターの障害やスラッシングが発生した場合は報酬が減少するおそれがある。こうした要因は、償還やリバランスにも影響を及ぼし得る。
関連文書では、これらの制約によってNCIQのNAVパフォーマンスと基準価格指数との乖離が拡大する可能性にも言及したが、その幅は示していない。
NCIQのステーキング導入は、暗号資産ETFが単純保有にとどまらず、追加収益の仕組みを組み込み始めた動きとして注目される。一方で、収益はまずHashdex側に優先配分されるため、投資家にとっては導入の有無そのものより、純収益が年率0.25%の基準をどの程度上回れるかが重要な判断材料となる。