米サンフランシスコで開かれたAIサミットに合わせ、NVIDIAやOpenAI、Broadcomといった米AI大手と、Samsung Electronics、SKグループ、現代自動車グループ、Naverなど韓国企業の大型提携が相次いで明らかになった。単なる部材供給を超え、AIインフラの共同構築や長期的な開発協力へと関係が広がっている。
24日(現地時間)には、ジェンスン・フアンNVIDIA CEOがイ・ジェミョン大統領と会談し、「韓国に真の黄金期が始まった」と発言した。これに対し、イ大統領は「これが始まりにすぎないことを望む」と応じた。
この会談を挟む形で、NVIDIAとSKグループによる5000億ドル超のパートナーシップに関する意向書(LOI)、Samsung ElectronicsとBroadcomによる2000億ドル超の業務協約(MOU)が相次いで公表された。
会談はAIサミットに先立ち、サンフランシスコのフェアモント・ホテルで行われた。NVIDIAによると、イ大統領はフアンCEOがソウルでチキンとビールを楽しんだとの報道に触れて会話を始めたという。
これに対しフアンCEOは、「チキン店からサムギョプサル店まで、韓国全土で感じた熱気は本当に驚くべきものだった」と応じたうえで、PCゲームからAI革命に至るまで25年以上続く協力関係に言及。今後はAIインフラ、半導体、フィジカルAI、研究分野全般へ連携を広げる考えを示した。
AIサミットの会場となったサンフランシスコの「The Midway」では、イ大統領が「サンフランシスコAI宣言」を通じて、「大韓民国は代替不可能なグローバルAIサプライチェーンの中核国へ飛躍する」と表明した。
そのうえで、世界最高水準のメモリー半導体競争力と生産能力を土台に、信頼できるAI半導体の生産拠点となり、グローバルサプライチェーンの重要なパートナーを目指す考えを示した。
根拠として挙げたのは、6月に公表した4700兆ウォン規模のAIプロジェクト投資と、首都圏と地方を網羅する多極型生産拠点構想だ。AIについては「人類が新たに火を手にしたこと」に例え、AI半導体、ハイパースケールデータセンター、フィジカルAIに数兆ドル規模を投じる構想も示した。
企業連携では、まずメモリー分野で具体策が打ち出された。フアンCEOはサミットで、「韓国でHBMメモリーが発明されていなければ、NVIDIAは現在のAIを動かすスーパーコンピュータを開発できなかっただろう」と語った。
NVIDIAとSKグループは、5000億ドル超のパートナーシップに関するLOIを締結した。SK TelecomはNVIDIAのDSXプラットフォームを活用し、最大2ギガワット規模のAIクラウドを構築する計画だ。初のAIファクトリーは2027年の稼働を目標とする。
この構想では、SK hynixのHBM4を基盤とする「NVIDIA Vera Rubin」加速コンピューティングを導入する。SK hynixはHBMを含む次世代AIメモリーの長期供給と共同開発でも連携する。
チェ・テウォンSKグループ会長は、「AI時代の競争力は、AIをどれだけ効果的に活用できるかだけでなく、どれだけ多くの知能を生み出せるかにかかっている」と述べた。
Samsung Electronicsは同イベントで、Broadcomと2030年までに2000億ドル超のメモリーおよびファウンドリー分野の協業に関するMOUを締結した。Samsung Electronicsによると、2月に1c DRAMと4nmベースダイを適用したHBM4の量産出荷を開始し、5月にはHBM4Eのサンプル供給も行った。
チョン・ヨンヒョンSamsung Electronics DS部門長は、「AI時代には、メモリー、ロジック、先端パッケージングが緊密に統合された半導体ソリューションが重要だ」と説明した。チャーリー・カワスBroadcom半導体ソリューション・グループ社長も、「AIインフラが急速に拡大するなか、半導体エコシステム全体で緊密な協力がますます重要になっている」と述べた。
協力の裾野は半導体にとどまらない。Naverは、NVIDIAとBrookfieldから100億ドルの投資を受けると公表した。
イ・ヘジンNaver取締役会議長はサミットで、「Naverが新たな段階へ飛躍する大きな転機になる」と述べた。資本の流入に加え、両社が持つグローバルブランドとネットワークが、ノウハウ拡張の機会になるとの見方を示した。
同議長は、Naverがデータセンターを自ら設計・建設し、技術と運用ノウハウを蓄積してきた一方、世界市場への拡大では資本力とグローバル事業基盤に限界があったと説明した。
3社は、Naverの世宗データセンターに設けるNVIDIA DSX AIファクトリーを200メガワット規模に拡張する。Vera RubinプラットフォームベースのGPUは約10万基規模となり、6月に公表した当初計画の3倍超に増えるとしている。
フアンCEOはイ大統領との会談で、「Naverはご存じの通り韓国を代表するクラウド企業だ」と述べ、韓国内での拡大に加え、グローバル展開も支援する考えを示した。イ議長は、「世界の多様性を守るには、国や集団、個人のためのさまざまなAIが登場し、活動できなければならない」と語った。
現代自動車グループは、NVIDIAと共同開発したロボットのリファレンスプラットフォームを軸に、フィジカルAI戦略を公開した。既存のBlackwell GPU 5万基をベースにしたインフラ整備も拡大する方針だ。
また、自動運転開発プラットフォーム「Drive Hyperion」を現代自動車グループの車両プラットフォームに統合する。NVIDIAは、カイスト機械工学科とソウル大学それぞれとAI技術センター(NVAITC)の設立も進めるとしている。
需要サイドではOpenAIも存在感を示した。サム・アルトマンCEOは、「韓国がなければ、私たちが今経験している驚くべきAI革命も存在しなかっただろう」と述べ、「AIインフラへの大胆な投資が必要だ」と訴えた。
Samsung Electronicsは全従業員向けにChatGPTとCodexを導入する方針を決めた。アルトマンCEOは24日にチェ・テウォン会長と会談したのに続き、25日にはイ・ジェヨンSamsung Electronics会長と面会し、HBMやDRAM、先端ファウンドリー分野での協力を協議する予定だとされた。
ダリオ・アモデイAnthropic CEOは、韓国について「半導体からインフラ、優れた人材が集積する環境に至るまで、全スタックにわたって役割を果たしている」と評価した。
公式行事以外の接触も続いた。NVIDIAは25日、イ・ジェヨン会長、チョン・ウィソン現代自動車グループ会長、イ・ヘジン議長が24日に米カリフォルニア州サンタクララの本社を訪問したと明らかにした。
面談内容や議題は公表されていないが、業界では、Samsung Electronicsによる高帯域幅メモリー(HBM)を含む高性能メモリー供給を踏まえ、メモリーやファウンドリー分野が主要議題だった可能性があるとの見方が出ている。チョン会長は、自動運転やロボット、製造AIでの協力策を協議したと伝えられた。
イ大統領は締めくくりの発言で、「これまで大韓民国が先進国を追いかけてきたなら、これからは一歩先に立ち、皆の模範となる道を進もうとしている」と述べた。
チェ会長は、フアンCEOと夕食をともにするたびに「チップをもっとくれ」と言われると紹介し、その日に話題に上った数量がどれほどであっても、次の会合ではさらに多くのチップを求められるだろうとの見通しを示した。
もっとも、今回公表された協力案件の多くは、現時点ではMOUやLOIの段階にとどまる。SK Telecomの初のAIファクトリーは2027年の稼働を目標としており、Samsung ElectronicsとBroadcomの協業期間は2030年までとしている。