米上院で審議が進む暗号資産規制法案「CLARITY法案」を巡り、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員が批判を強めている。同議員は、法案が犯罪組織やテロリストによる不正資金の移動を容易にするほか、ドナルド・トランプの暗号資産事業を巡る利益相反も防げないと主張した。
これに対し共和党は、最新の修正案に公職者による暗号資産の発行や支援を禁じる倫理条項を盛り込んだとして反論している。
Bitcoin Magazineによると、ウォーレン氏は23日、Xに投稿した動画で「最新のCLARITY法案は、犯罪者やカルテル、テロリストが資金を移し、活動資金を調達することをさらに容易にする」と述べた。あわせて「投資家や金融システムの保護にも不十分だ」との認識を示した。
同氏は、法案が近く上院本会議で採決される見通しだとしたうえで、「最大の問題は、トランプが大統領の地位を利用して暗号資産事業で利益を得ることを止められない点だ」と指摘した。「これは規制ではなく特恵だ」として、法案は撤回されるべきだと訴えた。
焦点の一つは、倫理条項の実効性だ。上院共和党が公表した修正案には、連邦公職者とその家族が暗号資産を発行、または支援することを禁じる内容が盛り込まれた。
ただ、ウォーレン氏はこの条項だけでは、トランプに関連する利益相反の問題は解消できないと主張する。一方で、一部のXユーザーからは、当該の倫理規定はすでに法案に反映されているとして、同氏の批判に反論する声も出ている。
トランプ一族の暗号資産事業も再び焦点となっている。ウォーレン氏はこれまでも暗号資産業界に批判的な姿勢をとっており、足元ではトランプ一族の暗号資産事業に関する調査を求めてきた。
ワシントン政界では、トランプが大統領選期間中に暗号資産に友好的な政策を約束した後、ミームコイン「TRUMP」やWorld Liberty Financialなどの事業を通じて収益を得た点を巡り、利益相反の可能性が指摘されている。これに対し、トランプとホワイトハウスは一連の疑惑を否定している。
CLARITY法案を巡る議論は金融業界にも広がっている。共和党は本会議採決を前に修正案を配布し、法案成立を急ぐ構えだが、銀行業界はステーブルコイン関連条項に警戒感を示している。
企業がステーブルコイン保有者に報酬を付与できるよう認めれば、預金が銀行から流出し、貸出余力が低下する恐れがあるとの見方が出ているためだ。
一方、大手銀行では初めて公の場で支持を示す動きも出た。ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン会長兼CEOは24日、CLARITY法案への支持を表明し、法案成立に追い風となった。
CLARITY法案は、暗号資産の規制枠組み整備という本来の目的にとどまらず、トランプの利益相反、不正資金対策、ステーブルコインを巡る金融業界の競争環境まで絡む重要法案となっている。上院採決では、倫理条項の実効性や金融業界の懸念をどこまで反映できるかが、行方を左右する争点となりそうだ。