Genspark.aiは7月24日、メールや文書、会議、業務アプリケーションに分散する情報を横断的に蓄積し、AIエージェントが実務で活用できるようにする「AI Workspace 6.0」を発表した。中核にはメモリ基盤「SecondBrain」を据え、同社初の専用端末「SecondBrain Note」のほか、「GenMail」「AI Design」「GenTeam」を展開する。
今回のアップデートでは、SecondBrainを軸に製品群を拡充した。Genspark.aiによると、従来のAIは個別の作業が終わるたびに直前の文脈が途切れやすく、次の業務へ十分に引き継げないケースが多かった。既存のコネクターも複数ツールに散在する情報を呼び出すことはできるが、情報同士の関係性や意味まで含めて業務全体の流れを捉えるには限界があったという。
こうした「業務の文脈の断絶」を解消するのがSecondBrainだ。ユーザーが日常的に利用してきた各種業務ツールの情報を単一のメモリに統合し、過去のプロジェクト、意思決定、コミュニケーション履歴をAIエージェントが継続的に活用できるようにする。
連携先はメール、カレンダー、チャット履歴に加え、HubSpot、Notion、Google Workspaceなどの主要なビジネスツールに及ぶ。SecondBrainに蓄積された情報の所有権とコントロール権はユーザーが持ち、保存された内容の確認や修正、ダウンロード、削除も可能としている。
あわせて、画面の外で発生する情報もSecondBrainに取り込むための初のハードウェアとして「SecondBrain Note」も投入した。カードサイズの端末で、会議や通話、対話、音声メモを記録し、検索可能な構造化データとしてSecondBrainに同期する。
端末には録音中であることを示すインジケーターを備える。録音データはすべてユーザーが所有するメモリとして保存される。発売記念の期間限定割引プロモーションとして、179ドル(約2万6850円)で販売する。
メール業務を支援する「GenMail」は、既存メールの内容や文体、業務上の関係性、過去の履歴を学習し、返信の下書きを作成するAIエージェントだ。GmailとOutlook上で、関連する業務フローを直接実行できるとしている。
「AI Design」は、自然言語による指示から、制作に使える高品質なビジュアル素材、プロトタイプ、ブランドアセットを生成する機能だ。
「GenTeam」は、人と役割別の専門AIエージェントが共通のワークスペースで協働するチーム向けプラットフォーム。マーケティング、デザイン、開発、リサーチなど分野別のAIエージェントをグループチャットに加え、共通メモリと権限に基づいて実務を分担できるという。
AI Workspace 6.0は、これらの製品を「記憶」「実行」「協業」の3層で有機的に接続する構成を採る。SecondBrainがプロジェクトや意思決定、業務フローに関する文脈を継続的に蓄積し、GenMailやAI Designなどの実行機能がそれを成果物へとつなげる。GenTeamは同じ文脈を人と専門AIエージェントで共有し、個人単位のAI活用をチーム協業へ広げる役割を担う。
共同創業者兼CEOのエリック・ジン氏は、「現在のAIの記憶機能は、主にユーザーの口調や好みを覚えて応答をパーソナライズすることに重点が置かれている」と説明。「そのため、多くの価値は個々の対話が終わると同時に止まってしまう」と述べた。
その上で同氏は、「Genspark.aiが構築したのは、単に回答を個別最適化するための記憶ではなく、AIシステムが実務を遂行するために使える記憶体系だ」と強調した。「ユーザーが使う業務ツール全体の情報に加え、画面の外で行われる会議や対話までつなぎ、すべてのAIエージェントが同じ文脈を基に動けるようにした。目指しているのは、より賢いチャットボットではなく、前の仕事を覚え、次の仕事へ継続的につなげるシステムだ」と語った。