Samsung Electronicsが最新の折りたたみ型スマートフォンや最上位モデルを一律100ドル値上げしたことで、プレミアムスマートフォン市場全体に価格改定の動きが広がる可能性が出てきた。GoogleやAppleにも同様の対応が波及するとの見方があり、消費者の買い替え周期がさらに長期化するとの懸念も強まっている。
米ITメディアのEngadgetによると、Samsung Electronicsはこのほど発表した最新の折りたたみ型フラッグシップと最上位製品について、全モデルで100ドルずつ価格を引き上げた。
今回の値上げはSamsung Electronics単独の動きにとどまらない可能性がある。プレミアム機の価格水準が一段と切り上がれば、他社も価格戦略の見直しを迫られるとの見方が出ている。
Engadgetは、消費者負担の増加は避けられないとしつつも、AIブームや部品価格の上昇を踏まえれば、値上げ幅が100ドルにとどまったのはむしろ限定的だと評価した。AI需要を背景に、製品の付加価値と価格がともに上昇する流れが続いているとも指摘している。
次の焦点として挙がっているのがGoogleだ。業界では、次期Pixelスマートフォンが少なくとも100ドル値上がりする可能性があるとの見方が出ている。
分割払いの利用で月々の負担感は抑えられるものの、実際の購入総額は上昇するため、消費者の負担増は避けにくい。
Appleについても、値上げ観測がくすぶる。ティム・クックCEOが現行の価格水準の維持は容易ではないとの考えを示した後、実際に複数の製品群で価格を引き上げてきた経緯があるためだ。
このため、今秋発売予定の次世代iPhoneにも同様の価格政策が適用される可能性があるとみられている。
一部では、AppleがiPhone 18シリーズの発売時期を2段階に分ける戦略も、価格政策と連動する可能性があるとの見方がある。高価格帯のiPhone FoldとProモデルを先行投入し、標準モデルのiPhone 18と普及モデルは年末商戦後に投入するシナリオが取り沙汰されている。
値上げの影響は、すでに消費行動にも表れ始めている。米労働省によると、直近12カ月でエネルギー価格は15.7%上昇した。
生活費の負担増を背景に、新製品へ買い替えるよりも、既存端末を長く使う傾向が強まっているという。
その一例として、ゲーム機メーカーのValveは、今年5月時点で399ドルだった普及モデルのSteam Deckの販売を終了した。
あわせて中位モデルは549ドルから789ドルへ、上位モデルは649ドルから949ドルへそれぞれ値上げした。
市場調査会社のBoiling Steamは、値上げ後のSteam Deckの販売台数が82%減少したと分析している。値上げは収益性の改善につながる一方で、需要そのものを冷やす可能性があることを示す事例といえる。
スマートフォン市場でも同様の兆候が出ている。米ITメディアの9to5Macが実施したアンケートでは、回答者の38%が価格上昇を理由に、スマートフォンをより長く使う予定だと答えた。
調査会社IDCも、スマートフォンの値上げが2026年後半から2027年にかけて販売減少につながる可能性があると予測している。メモリ供給不足が続けば、市場全体の販売台数が記録的な低水準に落ち込むおそれがあるとも警告した。
業界では、今回のSamsung Electronicsの値上げは単なる新製品の価格調整ではなく、プレミアムスマートフォン市場全体の価格戦略に影響を及ぼす可能性があるとみている。
GoogleとAppleまで同じ方向に動けば、消費者負担は一段と重くなる。メーカー各社には、高価格戦略と販売台数の維持をどう両立させるかが問われそうだ。