Coinbaseは23日、法人顧客がAIエージェントからUSDCを直接受け取れる機能を導入したと発表した。決済標準「x402」を基盤に、即時かつ取消不可の決済に対応する。あわせて、AIエージェント向けの取引機能と開発者向けツールも拡張した。
Cryptopolitanによると、今週からCoinbaseの法人顧客は、追加の統合作業なしにAIエージェントが送金したUSDCを受け取れるようになる。
今回の発表は、Coinbaseが進める3つの製品拡張の一環だ。人間ではなくソフトウェアが購買を担う環境を見据え、決済の仕組みを再設計する狙いがある。同社は、事業者には「エージェントに最適化された決済手段」が必要だとしている。
法人向け決済は、Coinbaseが構築を進めてきた決済標準「x402」を基盤とする。決済処理はCoinbase Paymentsが担い、Coinbase Businessの利用者は追加設定なしで機能を有効化できる。USDC決済は即時に処理され、取消不可となる。再利用可能な決済リンクや、購入者データの自動収集機能も提供する。
Coinbase Businessを統括するシド・コエリョ=プラブは、取引の基本構造自体は変わらないと説明した。そのうえで、新たなオンラインのエージェント経済に対応するため、取引の進め方を再構成したと述べた。
同氏はまた、AIエージェントの流入はすでに始まっていると指摘した。先月には、Baseのドキュメントページでエージェントによるアクセス数が初めて人間のアクセス数を上回ったといい、オンラインサービスを利用するAIエージェントが急増しているとの認識を示した。
Coinbaseはあわせて、先月投入した「Coinbase for Agents」の機能も拡張した。モデル・コンテキスト・プロトコルを基盤に、OpenAIのChatGPTやAnthropicのClaudeなどのAIアシスタントとユーザーアカウントを接続する。取引所の顧客は、エージェントが発注した注文や未約定注文をリアルタイムで確認でき、注文状況や価格、数量もリアルタイムで更新される。
利用は自然言語による指示が中心となる。ユーザーが条件を文章で入力すると、エージェントが市場データを参照して取引を実行する。Coinbaseは、「Ethereumが5%下落したら買って」「自分の注文が約定したら売って」といった指示に基づき、エージェントが市場を監視して執行すると説明した。市場データには、同社が機関投資家向けトレーディングデスクに提供しているものと同等のWebSocketフィードを用いる。
開発者向け機能も追加した。Coinbase Developer Platformの「x402 SDK」は、API、モデル・コンテキスト・プロトコル(MCP)サーバー、Webサービスに対し、3行のコードでエージェント決済を組み込めるようにした。オープンソースのx402標準をCoinbaseが事前構成した形で提供し、決済処理と拡張機能を一体化することで、開発者が個別に組み合わせる手間の削減を狙う。
一方で、AIエージェントに取引や支出の権限を与える以上、セキュリティ面の課題もある。4月にはAI攻撃により、DeFi(分散型金融)プロトコルから6億ドルが流出した。Coinbaseは対策として、エージェント用ポートフォリオをユーザーの主要残高から分離し、支出上限、取引規模、アクセス可能なサービス範囲を制限しているという。
Coinbaseは6月に同機能を公開した際、AIアシスタントがユーザー設定の範囲内で暗号資産を取引し、市場データを参照し、x402でサービス利用料を支払えるようにしたと発表していた。当時、CoinbaseのAI製品責任者リンカーン・マーは、x402がAmazon Web Services、Anthropic、Circle、Nearと共同で開発したプロトコルだと説明。x402は30日間で7500万件の取引と、2400万ドル規模の取引量を処理したとしていた。
今回の更新は、AIエージェント向けの決済、取引、開発者ツールを一体的に拡充し、商取引インフラへと広げる同社戦略の延長線上にある。Coinbaseは、決済標準、取引連携、開発者ツールをまとめて強化することで、AIエージェントを前提としたオンライン商取引基盤の整備を進める。