ビットコインは、短期保有者の平均取得単価とされる6万9000ドルを下回る水準で推移している。足元の反発局面を支えているのは現物ETFへの資金流入と大口投資家の買いで、29日(現地時間)に予定される米連邦準備制度理事会(Fed)の政策判断が、上昇基調の持続を占う分岐点として注目されている。
ブロックチェーンメディアのCryptoSlateによると、直近のビットコイン相場の持ち直しは、現物上場投資信託(ETF)への資金流入と、1000〜1万BTCを保有する大口ウォレットの買いに大きく支えられている。
市場では、弱含む雇用統計と鈍化したインフレ指標を背景に、金融政策の転換期待がくすぶっている。6月の非農業部門雇用者数は5万7000人増にとどまり、失業率は4.2%だった。4月と5月の雇用者数も合計7万4000人分、下方修正された。コア消費者物価指数(CPI)は前月比で横ばい、前年同月比では2.6%上昇となり、伸びは鈍化した。
一方で、原油高と米国債利回りの上昇はビットコインの重荷となっている。ブレント原油先物は今週、1バレル94ドル前後で取引を終え、取引時間中には一時95.47ドルまで上昇した。米10年国債利回りは4.67%水準に上昇し、30年債利回りは11営業日連続で5%を上回った。
こうした環境を受け、市場では7月の利上げ観測が再び意識されている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)ベースの指標では、7月利上げの確率は33.7%とされ、前日の25.7%から上昇した。
オンチェーン分析企業Glassnodeは、弱い雇用指標と原油高という相反する材料がともにFedの判断に影響することで、市場がすでに楽観シナリオを一部織り込み始めている可能性があるとみている。
実際、ショートポジションの清算が進み、下落に備えたヘッジ需要も急減した。取引所への流入量は数週間ぶりの低水準まで落ち込み、売り圧力の緩和もうかがえる。ビットコイン現物ETFには14日から21日まで6営業日連続で資金が純流入し、流入額は約9億3020万ドルに達した。13日までに発生していた4億2470万ドルの流出分を打ち消す規模だという。
ただ、買い手の広がりはなお限定的だ。直近の蓄積が確認されたのは主に1000〜1万BTCを保有するウォレットで、この層は一般にファンドや大手トレーディングデスクに属するウォレットとみられている。これに対し、中規模保有者は再び売りに傾き、市場全体の指標も依然として「リスク回避」を示した。Glassnodeは「限定的な大口の買いと新規のETF需要が、まだ実現していないFed転換への期待を背景に相場を支えている」と分析した。
債券市場も上値を抑える要因だ。Glassnodeは以前のリポートで、リスク資産が許容しやすい米10年国債利回りの上限を4.45%水準と示していたが、足元では4.67%となっている。ドル指数(DXY)も約101.14と、同社が基準値とした99を上回る。ビットコインとドルの逆相関が強まっている可能性を示す動きといえる。
今後の方向性は、Fedのメッセージと原油相場に左右されそうだ。強気シナリオが現実味を帯びるには、Fedが金利を据え置いたうえで、労働市場の弱さをより大きなリスクとして認識することが必要となる。加えて、ブレント原油が米エネルギー情報局(EIA)の第3四半期見通しである74ドル方向まで下落し、10年国債利回りが4.45%を下回ることが条件となる。この場合、ETFへの資金流入が続き、買いの裾野がホエールウォレット以外にも広がれば、ビットコインは6万9000ドルの回復を経て、8万4000ドル台を視野に入れる展開も考えられる。
逆に、Fedが据え置きを決めても原油高が続き、先行きの利上げ余地を残すようなら、市場の地合いは変わり得る。ブレント原油が94ドル近辺にとどまり、30年債利回りが5%超を維持すれば、利息収入を生まない資産であるビットコインの保有コスト負担は一段と重くなる。
下値の目安としては、6万3000ドル近辺が改めて重要になる。Glassnodeは、この価格帯に総供給量の約10%が積み上がっているとみている。ビットコインが6万9000ドルを回復し、より幅広い参加が確認されれば、機関投資家需要の回帰シグナルと受け止められる。一方で、6万9000ドルを回復できず6万3000ドル台へ押し戻されるようなら、今回の反発が戦術的な買いにとどまっていたのかを見極める局面となる。
結局のところ、今回の反発が持続するかどうかは、ETFと大口ウォレット主導の買いが、より広い市場参加へ波及するかにかかっている。Fed判断後に金利、ドル、原油がそろって落ち着けば、ビットコインが再び上値を試す可能性はある。半面、マクロ要因の重しが残る場合、6万9000ドルは引き続き短期的な上値抵抗として意識されそうだ。