Teslaは2026年4〜6月期に、暗号資産価格の下落に伴い1億1200万ドル(約168億円)の評価損を計上した。保有資産を売却していなくても、公正価値会計に基づく含み損が純利益に反映され、業績を押し下げた。
CryptoSlateが23日付で報じたところによると、Teslaは第2四半期に暗号資産の評価損1億1200万ドルを税引き前で計上した。税引き後では普通株主に帰属する純利益が8700万ドル(約131億円)減少し、1株当たり利益(EPS)は0.02ドル低下した。
Teslaの第2四半期の株主向け資料によれば、6月30日時点のデジタル資産の簿価は6億7400万ドル(約1011億円)だった。3月末の7億8600万ドル(約1179億円)から減少しており、四半期末時点の公正価値会計が反映された結果とみられる。
背景にあるのは、米国財務会計基準審議会(FASB)の暗号資産会計基準だ。この基準では、企業が保有する暗号資産を四半期ごとに公正価値で再評価し、価格変動分を純利益に即時反映する。価格上昇時には含み益、下落時には含み損が生じ、売却の有無にかかわらず損益計算書に影響が出る仕組みとなっている。
一方で、この損失は調整EBITDAには反映されなかった。Teslaは第2四半期の調整EBITDAを算出する際、暗号資産の評価損1億1200万ドルを除外し、32億7300万ドル(約4909億円)を示した。会計上は純利益に影響するものの、実際のキャッシュ流出ではないためだ。
市場の関心は、Teslaのビットコイン保有状況にも向かっている。3月末時点の開示では、同社は取得額3億8600万ドル(約579億円)に相当するビットコイン1万1509BTCを保有していた。ただ、第2四半期の株主向け資料には、保有数量や売却の有無は記載されていない。
23日時点では、TeslaのIRページでも四半期報告書(Form 10-Q)は公開されていない。このため、簿価の減少がビットコイン価格下落による評価損なのか、一部売却によるものなのかは確認できない。今後公表される正式な四半期報告書で、保有数量や取引の内訳が開示されるかが注目される。
もっとも、資産全体に占める暗号資産の比率は大きくない。第2四半期末のデジタル資産6億7400万ドルは、総資産1485億2400万ドル(約22兆2786億円)の約0.45%にとどまる。ビットコインを財務戦略の中核に据える企業とは異なり、Teslaにとって暗号資産は総資産の一部に位置付けられている格好だ。
それでも値動きの大きい資産である以上、四半期業績への影響は無視できない。実際、Teslaは2025年10〜12月期にも、同じ公正価値会計基準に基づき約6億ドル(約900億円)の評価益を計上し、純利益を押し上げた。同一の会計ルールが、相場上昇時には利益押し上げ要因、下落時には損失要因として作用する構図が鮮明になっている。
今後もTeslaが同様の方法で調整EBITDAを示す場合、暗号資産価格の変動は米国会計基準(GAAP)ベースの純利益には反映される一方、調整指標からは除外される公算が大きい。