Alphabetが第2四半期に59億ドル(約8850億円)の資金流出を計上し、人工知能(AI)投資の拡大がビッグテックのキャッシュ創出力を圧迫している。米Bloombergが23日(現地時間)に報じた。市場では、来週決算を発表するMicrosoft、Meta、Amazonの投資計画にも注目が集まっている。
今回の決算は、AI開発競争がビッグテックの財務運営に変化をもたらしていることを浮き彫りにした。これまでは高い利益率と潤沢なキャッシュフローを背景に新規事業へ投資してきたが、足元ではAIインフラへの投資が現金創出のペースを上回りつつある。
主要ビッグテックのAI関連投資は、2026年に7000億ドル(約10兆5000億円)を超える見通しだ。
Alphabetは、Google Cloudの売上高がAI向け計算資源のリース需要を追い風に82%増となった一方、コスト増を吸収するには至らなかった。2026年には150億ドル(約2兆2500億円)を追加投資する見通しで、来年もAIインフラ投資を拡大する計画だ。
クラウド事業が伸びるほど、データセンターや演算インフラへの投資負担も重くなる構図だ。
市場の関心は、他のビッグテックにも同じ流れが広がるかどうかに移っている。決算発表を控えるMicrosoft、Meta、Amazonの株価は23日の取引開始前に2~4%下落し、Alphabetも5%安となった。
投資家が警戒しているのは、AI関連売上の伸びを上回るペースで、資本支出や減価償却費、営業費用が膨らむ可能性だ。
Saxo Marketsの最高投資戦略責任者(CIO)、チャル・チャナナ氏は、AI投資の規模は今後さらに拡大する可能性が高いとみている。Microsoftをはじめ各社は依然として計算能力の不足に直面しており、投資拡大圧力は続くとの見方を示した。
同氏は、投資家はAI事業が巨額の資本支出と営業費用を吸収できるだけの収益を生み出せるかを見極めようとするだろうとも指摘した。
2027年の見通しも明るくはない。市場予想ベースでは、AlphabetとAmazonは2026年に続いて資金流出が続く可能性が取り沙汰されている。
Metaのキャッシュフローは95.7%減の18億5000万ドル(約2775億円)に落ち込み、Microsoftの現金創出額も前会計年度の推計値の半分程度に縮小する見込みだ。
売上高に対する資本支出比率も急上昇している。Metaは35.9%から54.9%へ、Alphabetは23%から41%へ、Microsoftは31%から45%へ、Amazonは18%から25%へ上昇すると予想される。
売上が増えても、その資金の相当部分をAI設備やインフラに再投資せざるを得ない状況を示している。
もっとも、Alphabetは競争優位も示した。Google Cloudは直近数四半期にわたり競合を上回る成長を続けており、急増する顧客需要に対応するため、他社のデータセンター容量も借り受ける方針を明らかにした。
収益性はやや低下する可能性があるものの、需要取り込みを優先する判断と受け止められている。
Janus Henderson Investorsのポートフォリオマネジャー、リチャード・クロード氏は、Alphabetについて、自社製AIチップから数十億人規模のユーザー基盤まで、AIエコシステム全体で競争優位を確保していると評価した。
一方、競合各社には成長率の維持とコスト抑制という二重の課題がある。米最大のクラウド事業者であるAmazon Web Services(AWS)とMicrosoftのクラウド事業は引き続き成長が見込まれるものの、AI投資の拡大に伴って資本支出の負担が増し、株価の重荷となる可能性がある。
AIインフラを巡る競争も一段と激しくなっている。MetaがAnthropicへのコンピューティング資源の提供を検討するなど、ビッグテックとAIインフラ企業の間では、競争と協業の両面が広がっている。
来週のビッグテック決算では、AI関連売上の成長以上に、大規模なAI投資をどこまで積み増す必要があるのかが市場の焦点となりそうだ。AI競争が深まるほど、ビッグテックのキャッシュ創出力と収益性に対する検証は一段と厳しくなるとみられる。