HBM4を巡って実装技術の選択肢が広がっている。写真=Shutterstock

第6世代の広帯域メモリ「HBM4」を巡る実装戦略が大きく揺れている。JEDECがHBM4パッケージの厚み基準を従来の720μmから775μmに緩和したことで、16段積層の実現手段が広がり、Samsung ElectronicsとSK hynixは次世代接合技術「ハイブリッドボンディング」の導入時期を改めて見極める局面に入った。

従来は、HBM4の厚み規格である720μmを満たすには、DRAM積層工程でチップを極めて薄く研削する必要があった。現行プロセスでは量産実装の難度が高く、業界ではHBM4からハイブリッドボンディングへの移行が避けられないとの見方が強かった。

だが、この前提は変わった。JEDEC参加企業のSamsung Electronics、SK hynix、Micronに加え、NVIDIAやAMDなどが厚み基準の引き上げに合意したことで、実装技術の選択肢が広がったためだ。

追加された55μmの余裕により、バンプを用いる既存工法でも16段積層を実現できる可能性が出てきた。バンプベースの実装工程を高度化するルートが改めて現実味を帯びている。

変わったのは性能要件ではなく、実装面の物理的制約だ。HBM4が求める帯域幅や容量の基準は据え置かれており、同じ目標をどのパッケージング技術で達成するかが焦点になっている。

HBM4の規格自体はすでに固まっている。JEDECの「JESD270-4」によると、HBM4は2048ビットのインターフェースを採用し、ピン当たり8Gb/sで動作する。スタック当たりの帯域幅は最大2TB/sに達する。

独立チャネル数はHBM3の16から32に増え、各チャネルは2つの擬似チャネルを備える。積層は4段から16段まで対応し、32Gbダイを16段積層した場合、スタック当たり64GBを実現できる。

◆55μmの余裕で変わるHBM4の構図、既存工法の延命余地広がる

HBMはDRAMを垂直方向に積み上げる構造で、チップ間を接続する微細突起のバンプと、その隙間を埋める接着材料が厚みを左右する。

SK hynixが採用する先端MR-MUFは、液状樹脂を流し込んで硬化させる方式だ。一方、Samsung Electronicsが適用してきたTC-NCFは、フィルム状の接着材をチップ間に挟み、熱と圧力で接合する。いずれも積層段数が増えるほど厚み面での負担が大きくなる。

このため、720μmの制約下で16段積層を実現するには、バンプを使わない方式への転換が有力視されてきた。

その中心にあったのがハイブリッドボンディングだ。バンプを除去して厚みを抑えるこの技術は、チップ表面の銅と絶縁膜を直接接合するもので、薄型化に加え、放熱性や電力効率の改善も期待されている。

もっとも、導入のハードルは低くない。専用ラインの構築に伴う設備投資負担が大きいうえ、表面平坦化や超クリーン環境の維持など、歩留まりを左右する変数も多い。

今回、55μmの余裕が生まれたことで、既存のバンプベース工程でも16段積層に対応できる可能性が出てきた。このため、ハイブリッドボンディングの適用時期は第7世代のHBM4E以降に先送りされるとの見方が強まっている。

両社の対応は分かれそうだ。SK hynixは実績のあるMR-MUFを16段まで拡張し、安定した歩留まりの確保を優先する構えだ。ハイブリッドボンディング向け専用装置への投資時期を後ろ倒しし、収益性を重視した供給に力点を置く可能性がある。

Samsung Electronicsは、ハイブリッドボンディングの先行導入を技術主導権回復のカードとして検討してきた。ただ、規格緩和によって、顧客がコストやリスクの大きい新技術を積極的に求める動機は弱まったとの見方もある。

影響はサプライチェーンにも及んでいる。ハイブリッドボンディング向け新規装置の発注は後ずれする一方、既存工程や検査分野の受注は前倒しされる流れだ。

半導体検査装置メーカーのUnitestは23日、SK hynix向けにHBM4用ウエハーテスターを226億8000万ウォンで供給する契約を結んだと開示した。金額は直近の連結売上高1101億9503万ウォンの20.58%に相当する。

契約期間は2026年7月23日から10月8日まで。3カ月に満たない短期案件で、条件付きではない確定契約とされる。代金の支払い条件は、装置搬入後に90%、セットアップ完了後に10%という。

Unitestは前年、売上高1102億ウォン、営業損失211億ウォンを計上した。SK hynixとは直近3年間に同種契約の履行実績があるという。

もっとも、厚み基準の緩和で確保した時間は長くないとの見方が多い。16段を超える積層や、入出力端子が大幅に増えるカスタムHBMの領域では、信号伝送や放熱に関する要求が再び限界に近づくためだ。

業界では、HBM4量産が既存ボンディング技術の高度化競争として進む一方で、Samsung ElectronicsとSK hynixの両社はHBM4Eを見据え、ハイブリッドボンディングの歩留まり確保にも並行して資源を投じるとみられている。業界関係者は「HBM4とHBM4Eの開発を同時並行で進める局面に入った」と話した。

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