SmilegateとNPIXELは22日、新作MMORPG「Eclipse: The Awakening」の制作発表会を開き、開発方針と主要コンテンツを公表した。作品の中核に据えるのは、接続時間や課金、対人競争に伴う負担を抑える独自コンセプト「MMOLite」だ。
「Eclipse: The Awakening」(以下、Eclipse)は、Unreal Engine 5で開発中のPC・モバイル向けクロスプラットフォームMMORPG。18歳以上対象で、9月の韓国正式サービス開始を目標としている。
MMORPGの面白さはそのままに、負担を軽く
NPIXELで開発を統括するイ・サンムン氏は、「いまはゲームだけでなく、映像やショートフォームなど多様なコンテンツがユーザーの時間を奪い合う時代だ」と説明。そのうえで、「MMORPGもプレイヤーを長時間つなぎとめるのではなく、日常と両立しながら深い楽しさを提供する方向へ変わる必要があると考えた」と語った。
同氏は、長時間プレーや反復作業、望まない競争がMMORPGに対する負担感を高め、離脱につながっていると指摘。こうした課題を踏まえ、「選択肢は広げ、強制は減らす」を開発原則に据えたという。
その思想を形にしたのが「MMOLite」だ。MMORPGと「Lite」を組み合わせた造語で、ジャンルの奥深さを保ちながらプレー負担を下げる開発哲学を指す。具体的には、接続負担を抑える「Time Lite」、購入時の疲れや不確実性を減らす「Pay Lite」、競争による負担を軽くする「Stress Lite」の3本柱で設計した。
一方で、ライブサービス型タイトルでは運営を続けるなかでコンテンツが積み上がり、結果的に他のMMORPGと同じように重くなるのではないかとの見方もある。これに対しイ氏は、「コンテンツ追加はジャンルの特性上自然なことだが、コンテンツ量の増加とユーザー負担の増大は同義ではない」と強調。「いつログインしても自分のペースで成長や戦闘を楽しめる体験を維持することが、MMOLiteの核心だ」と述べた。
「聖所」で成長支援、戦闘ビルドにも幅
Time Liteの中核コンテンツが「聖所」だ。時間経過に応じて召喚券、経験値、育成素材などキャラクター成長に必要な資源を自動で生産する仕組みで、オンライン中は即時受け取りが可能。オフライン中も報酬が蓄積し、再接続時にまとめて受け取れる。聖所で得た召喚券は、ショップで販売する召喚券と同じ基準で使えるとしている。
聖所では「星座」を育成することで、資源を生産する「聖物」と戦闘ステータスを補助する「聖位」が連動して強化される設計を採用した。生産による成長とキャラクターの直接成長を同時に実感できるようにしたほか、24時間のオフラインAIプレーも導入し、非接続中も育成が進むようにした。イ氏は「『ログインできずに遅れた』という心理的負担を和らげることが、放置型報酬を導入した最大の狙いだ」と説明した。
Pay Liteは、課金自体を減らすことよりも、購入過程で生じる疲れや不確実性を抑えることに重きを置く。ただ、確率型商品の全面排除を意味するものではない。
Smilegateで事業を統括するシン・ジェイク氏は、確率型商品を維持する理由について「重要なのは有無ではなく、購入時にユーザーが価値と満足を十分に実感できる体験を提供することだ」と説明。「欲しい結果を得るために同じ購入を繰り返す疲れや不確実性を減らし、支払った分の価値と満足を得られる方向でBMを設計した」と語った。
この設計を支える仕組みが「Eclipse Time」だ。決まった時間の接続を求める従来のホットタイムとは異なり、プレイヤーが保有する時間を任意のタイミングで発動でき、フィールドプレー中に主要な成長アイテムを高確率で獲得できる。日程やプレースタイルに合わせて柔軟に使える点を特徴とする。
Stress Liteでは、競争を強いない設計を打ち出した。大半の地域をセーフティーゾーンとし、PKの負担なく成長できるようにする一方、より高い報酬や速い成長を求めるプレイヤーにはPvP地域を選べるようにした。
RvRコンテンツの「ハイリバー戦場」は、マッチング後すぐに参加でき、1回あたり約10分で進行する。死亡ペナルティはなく、無制限に復活できるため、長い待機時間や長時間戦闘の負担を抑えた。
サーバー間競争コンテンツでは、ギルドの成果がサーバー全体のバフにつながる構造を採用。サーバー内予選を経て代表ギルドに選ばれると、他サーバーの代表ギルドと競う。上位層だけでなく、日常的なプレーがギルドやサーバーの競争力に結び付く設計とし、ライト層でも無理なく貢献できるようにした。
負担軽減に加え、Eclipseが差別化要素として掲げるのが、クラスごとの戦闘の自由度だ。クラスはファイター、レンジャー、ソーサレス、アサシンの4種で、それぞれ2種類の武器タイプを選択できる。武器の選択によって、同じクラスでも戦い方が変わる仕組みだ。
イ氏は、クラス数を増やす代わりに武器切り替え型のカスタマイズを採用した理由について、「クラスを増やすのも一つの方法だが、多くのゲームで見慣れた体験でもある。より新しく、識別性のある挑戦をしたかった」と説明。「同じクラスでも、多様な戦闘スタイルに合わせてカスタマイズできる点で新しい面白さを出せると判断した」と述べた。
このほか、2つのスキルを組み合わせて新たな効果を生む「スキル融合」システムと、新たな権能スキルを獲得して戦闘方針を定める「権能システム」も搭載。同じクラス、同じ武器でもプレイヤーごとに異なる戦闘ビルドを構築できるようにした。
独自世界観を構築、「神はなぜ生まれたのか」から出発
Eclipseは既存IPを使わず、オリジナルのストーリーを採用した。舞台は、神の祝福のもとですべてが完全に見えていた世界「エデリオン」。教団の司祭「セラハ」は、平和の裏に隠された真実に疑問を抱き聖域へ向かうが、すべてを失った末にもう一つの世界「オルテア」へたどり着く。神の意志ではなく、自らの選択で世界の真実に向き合うセラハの旅が、作品世界を貫く軸になるという。
イ氏は、既存ファンタジーの前提を踏襲するのではなく、「神はなぜ生まれ、何のために存在するのか」という問いから独自の神話と世界観を組み立てたと説明した。
アートを統括するキム・ドンヒョク氏は、「Eclipse」というなじみ深い天文現象を単なる背景設定ではなく、これまで知られていなかった事件や場所を一つにつなぐ中核装置として再解釈したと語った。世界観の秘密を宿す空間である「聖所」を視覚的に表現する点にも力を入れたという。
Eclipseは、NPIXELが「Gran Saga」以降に投入する新作MMORPGとしても注目を集める。イ氏は「NPIXELが積み上げてきた開発経験を、新たな方向で解き直した作品だ」と位置付け、「Smilegateのライブサービス運営力とNPIXELの開発力を組み合わせ、長く愛されるMMORPGを作ることが最も重要な目標だ」と述べた。
本作は当初、2025年のリリースを目標に公開されたが、その後スケジュールを見直した。イ氏は延期の理由について、「最大の理由は完成度だ」と説明。「MMOLiteという方向性をメッセージだけで終わらせず、実際のプレーのなかでユーザーが明確に体感できる必要があると考えた」と語った。
開発期間中には複数回のテストを実施し、プレーデータの分析とユーザーの声をもとに、成長構造や戦闘、運営体験を継続的に磨いてきたという。Eclipseは9月の正式サービス開始に向け、最終開発を進めている。