画像=ChatGPT

Kakaoが、メッセージアプリ「カカオトーク」を起点とするAIコマースの拡大を進めている。ギフトの相手推薦や会話文脈に沿ったスポット提案、予約導線の整備を通じて、アプリ内で生まれた需要を検索、予約、決済までつなげる構想だ。もっとも、市場が見極めようとしているのは機能追加そのものではない。推薦が実際の購入や予約に結び付き、収益化まで到達できるかが焦点になっている。

Kakaoは最近、カカオトークの「友だち」タブ上部に「特別な友だち」機能を追加し、ギフト需要の取り込みを強めた。記念日や友人関係、利用履歴などを基に、AIがギフトを贈る相手として適した友だちを推薦する仕組みだ。

会話の文脈や利用パターン、ギフト履歴を踏まえて購買ニーズを捉える機能も盛り込んだ。例えば、友だちに「試験どうだった?」と送ると、試験応援に関連するギフト候補が表示される。

Kakaoはこれまでも、誕生日の友だちに関する表示を増やすなど、ギフトとの接点を広げてきた。今回の施策も、コマース収益の底上げを狙った動きと位置付けられる。

2025年のコマース取引額は10兆6000億ウォンで、前年比6%増だった。コマース売上高は9510億ウォンと同7.8%増え、全社売上高の11.7%を占めた。

AIコマースの対象はギフトにとどまらない。Kakaoは、カカオトーク内のAIサービス「Kanana」に搭載するスポットエージェント機能も強化した。

従来は飲食店中心だった推薦対象を、旅行、文化、日常利便サービスへ広げた。推薦後の情報探索や共有、予約までをカカオトーク内で完結できるようにする点が柱となる。

利用者は会話の流れに応じて、観光地、宿泊施設、展示会、公演、映画館、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、自動車整備工場などの提案を受けられる。一部はそのままカカオトーク内で予約できる。特定地域への訪問予定を登録しておけば、日程に応じて飲食店や駐車場、メニュー情報まで案内するという。

こうした機能拡充の狙いは、カカオトークを取引の入口に変えることにある。友だちの誕生日、試験応援、旅行日程といった、アプリ内ですでに生じている利用者ニーズをAIが捉え、商品提案や場所提案、予約へつなげる構図だ。

このモデルが機能すれば、カカオトークは単なるメッセージアプリではなく、需要を掘り起こすチャネルになり得る。検索アプリを開く前に会話の中で必要な商品や場所を見つけ、そのまま予約や決済まで完了すれば、広告収入に加え、仲介手数料や決済手数料、取扱高の拡大も期待できる。

一方で、推薦後の決済が外部アプリに流れる場合、Kakaoが取り込める収益は限られる。AIコマースの成否は、推薦精度だけでなく、取引をどこまでアプリ内で完結できるかにかかっている。

業績面では中核事業は底堅い。金融情報会社FnGuideのコンセンサスによると、Kakaoの2026年4~6月期売上高は2兆492億ウォン、営業利益は2263億ウォンと見込まれている。

前年同期比では売上高が1%増、営業利益は21.7%増の見通しだ。売上高の伸びは小幅にとどまる一方、利益は2桁増が予想されている。

この利益改善には、本業の収益性向上に加え、子会社整理の効果も重なっている。Kakaoの子会社数は2023年5月の147社から、2025年末には94社へ減少した。売上高が大きく伸びなくても、コスト削減によって営業利益が相対的に増えやすい構造にある。

ただ、こうした費用圧縮の効果とAI事業そのものの成果は分けてみる必要がある。

市場がなお慎重なのは、現時点でAI戦略が成長再加速の材料として十分に示されていないためだ。韓国投資証券のアナリスト、チョン・ホユン氏は、Kakaoの全社成長率の鈍化によって、インターネット業界を低成長の内需株としてみる見方が広がっていると指摘した。

DB証券のアナリスト、シン・ウンジョン氏も、「ChatGPT for Kakao」の累計利用者数は約1100万人と推定される一方、トラフィック指標や外部パートナー連携はなお活発とは言い難いとの見方を示した。低成長懸念を払拭するには、エージェンティックAIが実際の収益につながることを示す必要があるという。

Kakaoはすでに一部サービスで外部パートナー連携の実績を積んでいる。OpenAIと協業したチャットボット型サービス「ChatGPT for Kakao」は、「Kakao Tools」を通じてOlive Young、Musinsa、Saraminとの連携を終えているが、現状では会話型の情報探索や照会の域を出ていない。

決済まで含めた完結型コマースについては、「Kanana in カカオトーク」でなお検証が必要という位置付けだ。

関連サービスは近く公開される見通しだ。新韓投資証券のアナリスト、カン・ソクオ氏は、Kakaoがカカオトーク内で検索、推薦、決済まで対応するエージェントを8月上旬に公開すると予想した。

衣料品や化粧品、旅行など、既存のギフト領域を超えるコマース需要をカカオトーク内に取り込めるかが焦点になるとしている。

もっとも、AIコマースの評価は証券各社で分かれている。サムスン証券のアナリスト、オ・ドンファン氏は、KananaとChatGPTの二正面展開はいずれも成果が限定的だとみる。

Kananaについては、メッセージ起点の会話文脈に必ずしも合わない設計だと指摘。「ChatGPT for Kakao」についても、単独アプリとの差別化が弱く、意味のあるトラフィックを生み出せていないと分析した。供給者の論理ではなく、消費者視点でゼロベースから再設計すべきだという主張だ。

これに対し、ユアンタ証券のアナリスト、イ・チャンヨン氏は別の見方を示す。Kakaoはショッピング、地図、決済、モビリティ、音楽、ウェブトゥーンまで幅広いサービス群を持ち、5000万人規模の月間アクティブユーザー(MAU)も抱える。多様な体験を先行して提供し、利用者接点を押さえた事業者が優位に立つという意味で、Kakaoは先行者利益を得やすい立場にあるとみている。

サービス完成度の不足を重視する見方と、既存資産の厚みを評価する見方が並立している格好だ。

KakaoのAIコマースの強みは、商品数の多さではなく、カカオトーク内で生まれる文脈データにある。友だちとの会話、予定、関係性、ギフト履歴といった情報は、一般的なECモールでは持ちにくい資産だ。

ただし、それを取引に結び付けるには、推薦が自然であること、決済までの導線が短いこと、広告的な押し付けに見えないことが欠かせない。問われているのは技術力そのものよりも、むしろ利用者体験の設計だ。

LS証券のアナリスト、ソン・ユジン氏は「このサービスがAI収益化の枠組みに入るには、最適化されたターゲティング、既存コマースと差別化された利用者体験、実際の収益性への寄与という課題を満たす必要がある」と述べた。

KakaoのAIコマースを占ううえでのポイントは、推薦精度そのものではない。「特別な友だち」やスポットエージェントを起点に見つけた需要を、外部パートナー連携やKananaベースのエージェントコマースによって実際の購入・予約・決済へ転換できるか。下半期は、その実証が収益化段階入りの判断材料になる。

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