写真=Paramount X

欧州連合(EU)は、ParamountによるWarner Bros. Discoveryの買収を条件付きで承認した。承認の前提となったのは、欧州でUniversalとUIPを通じて展開する共同配給事業からの撤退だ。もっとも、取引完了にはなお米国での訴訟対応と英国当局の審査を乗り越える必要がある。

Engadgetが現地時間22日に報じたところによると、欧州委員会は今回の審査で、映画の製作・配給、メディアライセンス、放送事業への影響を検証した。その結果、競争上の懸念が最も大きいのは映画配給分野だと判断した。

ParamountとUniversalは欧州で、Universal International Pictures(UIP)を通じて共同配給事業を運営している。欧州委員会は、ここにWarner Bros. Discoveryの作品群が加われば、市場支配力が一段と強まる可能性があるとみた。

同委員会は、取引成立後にはWarnerの作品もUIP経由で配給される公算が大きかったと指摘した。是正措置がなければ、劇場側に不利な上映・配給条件が生じ、最終的には消費者にも不利益が及ぶおそれがあるとの見方を示した。

これを受け、Paramountは取引完了から13カ月以内に共同配給事業から撤退する方針を提示した。あわせて10年間、Universalと直接・間接を問わず映画の共同配給で協力しないことも約束した。EUはこれらの是正措置を条件に買収を承認した。

今回の決定により、ParamountはEUと米国連邦レベルでの承認を確保した。ただ、取引が最終的に完了したわけではない。米国では12州が競争上の懸念を理由に買収差し止めを求めて提訴している。裁判所は7月20日、買収手続きの進行を2週間停止し、8月3日に本格審理の必要性を判断する審理を開く予定だ。

英国でも規制当局の審査が残る。英国当局は今回の取引への介入意向を示唆しており、EUの承認後も不確定要素はなお大きい。

日程面の負担も無視できない。Bloombergによると、この買収が9月末までに完了しなければ、Paramountにはその後、1日当たり約700万ドル(約10億5000万円)の追加負担が発生する。米国での訴訟や英国審査が長引けば、コスト圧力はいっそう強まる可能性がある。

取引規模は1110億ドル(約16兆6500億円)。欧州当局が焦点を当てたのは企業結合そのものというより、欧州の映画配給網におけるParamountとUniversalの既存の協業体制だった。今後の手続きでも、コンテンツ統合の効果に加え、配給市場の競争環境にどのような影響を及ぼすかが主要な争点となりそうだ。

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