写真=ジャック・マラーズ氏のX

ジャック・マラーズ氏がTwenty One Capitalの最高経営責任者(CEO)を退任し、今後はビットコイン決済企業Strikeの経営に専念する。これに伴い、Twenty One CapitalとStrikeが検討していた統合構想も白紙となった。米ブロックチェーンメディアのCryptoSlateが現地時間21日に報じた。

マラーズ氏は辞任の理由について、自身が注力すべき対象が明確になったためだと説明している。

同氏はStrikeの創業者兼CEOとして、ビットコインのライトニング・ネットワークを活用した決済・送金サービスを展開してきた。エルサルバドルのビットコイン法定通貨化の過程にも関与し、業界内で知名度を高めた。その後、ビットコイン財務戦略を掲げるTwenty One Capitalを共同設立し、初代CEOを務めていた。

後任のCEOには、取締役会メンバーのラファエル・ザグリダ氏が就任する。Twenty One Capitalは、資本市場とビットコインインフラ分野での同氏の経験を踏まえ、巨額のビットコイン保有を基盤とする収益事業の構築を託す方針だ。

Tetherもザグリダ氏へのCEO交代を認め、両社が円滑な引き継ぎを進めていると明らかにした。

今回の経営トップ交代により、Twenty One Capitalは従来の拡張路線の見直しを迫られる可能性がある。同社は4月、Strikeと、ザグリダ氏に関連するビットコイン採掘・エネルギーインフラ事業Electronの買収を視野に入れた事業計画を示していた。

ただ、同社が5月に開示した1〜3月期の開示資料によると、これらの買収案件について拘束力のある合意や契約は締結されておらず、取締役会の承認も得ていなかった。

一方で、Twenty One Capitalは依然として大規模なビットコイン保有企業でもある。3月31日時点の保有量は4万3514BTC。公正価値は約29億5000万ドル、現金は約1億1410万ドルとしている。

同じ開示資料では、四半期中にビットコインポジションで約8億4780万ドルの公正価値損失を計上したことも明らかにした。あわせて、約1万6116BTCを転換社債の担保として差し入れていたという。

評価損は直ちに同額の現金流出を意味するものではないが、ビットコイン価格の変動が業績に直接影響する構造は鮮明になっている。

Twenty One Capitalはこれまで、1株当たりのビットコイン保有量を増やしながら、金融サービスや融資、資本市場関連商品などを通じて、保有資産を活用した収益事業を拡大する方針を示してきた。

ザグリダ氏も「Twenty Oneは、どれだけキャッシュフローを生み出せるか、どれだけ規律ある資本配分を実行できるかで評価されるべきだ」と述べた。TetherのCEOであるパオロ・アルドイノ氏も、ザグリダ氏について、キャッシュフロー事業の構築経験と規律ある執行力を評価した。

こうした発言は、単純なビットコイン保有量の多寡ではなく、財務構造の持続可能性が問われる局面に入ったことを示している。

足元では、大量のビットコインを保有する企業が、債務返済、担保維持、配当、自社株買い、追加購入のバランスを迫られている。資金調達環境が悪化すれば、ビットコインは単なる準備資産ではなく、企業の流動性を支える手段としての性格を強めかねない。

こうした圧力は資金調達手段にも及んでいる。ビットコイン財務戦略と連動する優先株は、6月の売り局面で額面を下回って取引された。

配当は維持され、市場での取引も継続しているが、投資家は長期的な価格変動の中で、この仕組みが持続可能かどうかをあらためて見極めようとしている。

Twenty One Capitalに突き付けられた課題は明確だ。資本調達が容易で、ビットコイン価格が上昇する局面では、財務資産を積み増しやすい。

しかし、Strikeが独自路線を選んだことで、Twenty One Capitalは自社のビットコイン貸借対照表だけで、より広範な事業を支えられるのかを自ら証明しなければならなくなった。

マラーズ氏は「Twenty OneのCEOを退任することを決めた。簡単な決断ではなかったが、正しい判断だった。この経験を通じて、自分が何者で、何を作りたいのかがより明確になった。私のライフワークはビットコインであり、私のビットコイン企業はStrikeだ。取り組みは続く」とコメントした。

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