金とビットコイン 写真=Shutterstock

金価格が1月の高値から約28%下落し、1オンス=4030ドル近辺まで水準を切り下げるなか、暗号資産市場にも同様の資金環境悪化が及んでいるとの見方が強まっている。背景には、実質金利の上昇とドル高がある。

Cryptopolitanが21日に報じたところによると、足元では金とビットコインが、ともに引き締まりつつある金融環境の影響を受けている。無利息資産である両者にとって、実質金利の上昇は逆風になりやすい。

主因は米国債利回りとドルの上昇だ。20日時点の米10年国債利回りは約4.57%、インフレ期待は約2.3%とされ、実質金利は2%を上回った。ドルも13カ月ぶりの高水準に上昇しており、利息収入を生まない金やビットコインの投資妙味を相対的に低下させている。

現金や国債の魅力が高まれば、値上がり期待を主な支えとする資産からは資金が流出しやすくなる。市場では、金の調整が暗号資産を含む広範なリスク資産に共通するマクロ環境を映しているとの受け止めが広がっている。

市場の見方を変えたきっかけとして挙げられているのが、6月17日の米連邦準備制度理事会(Fed)の政策会合だ。ケビン・ウォッシュ氏は政策金利を3.50〜3.75%で据え置いたが、市場では想定以上にタカ派寄りの内容と受け止められた。

ケビン・ウォッシュ氏はドットチャートを示さず、今後の政策経路に関する明確なガイダンスも出さなかった。このため、主要な経済指標が金利見通しに与える影響が一段と大きくなり、金価格も実質金利の変化に敏感になったとの見方が出ている。

ウォール街でも見通しの引き下げが相次いだ。JPモルガンは7月3日、2026年10〜12月期の金価格見通しを6000ドルから4500ドルに引き下げた。

HSBCも、2026年の平均金価格見通しを1オンス当たり4864ドルから4560ドルへ修正した。年末時点の見通しは4750ドルとしている。

一方で、金相場を下支えする要因も残る。World Gold Council(WGC)によると、2026年1〜3月期の中央銀行による金の純購入量は244トンと、前四半期を上回り、直近5年でも最高水準となった。

Saxo Bankのコモディティ戦略責任者、オーレ・ハンセン氏は、金現物ETFの保有残高について、数カ月にわたる売り越しの後に安定しつつあり、足元では公的部門の買いが主な支えになっていると指摘した。

資金流入では金がビットコインを上回った。BlackRockによると、年初来の金現物ETFへの純流入は444億ドルで、ビットコイン現物ETFの236億ドルを大きく上回った。

BlackRockは、投資家が金とビットコインの双方を、インフレや通貨価値の毀損に備える手段であり、株式・債券中心のポートフォリオを分散する資産として位置付けていると説明した。

こうした動きは暗号資産市場にとっても示唆的だ。金の上昇を抑えている高金利環境は、デジタル資産の反発余地も同様に狭めている可能性がある。

ハンセン氏は、金市場がインフレと成長鈍化という相反する力の間で方向感を欠いているとみる。実質金利が低下し、金利サイクルが転換すれば、金と暗号資産の双方に追い風となる可能性がある。一方で、Fedの引き締め姿勢とドル高が続けば、市場流動性の縮小圧力はさらに強まるとした。

今後の焦点は、流動性環境が反転するかどうかだ。実質金利が低下し、金利サイクルがピークアウトすれば、金と暗号資産が同時に持ち直す余地がある。

逆に、Fedの引き締め姿勢が続き、ドル高が維持されれば、市場流動性は一段と細る可能性がある。今回の金価格の調整は、金固有の問題にとどまらず、暗号資産や成長株までが同じマクロ要因で動いていることを示している。

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