8年間動きのなかったビットコインの大口保有者が、5908BTCを新たなウォレットへ移動した。現在の時価は約3億8267万ドル(約574億円)に相当し、2018年時点の取得額ベースでは約2億8300万ドル(約425億円)の含み益を抱えているとみられる。
ブロックチェーンメディアのThe Crypto Basicが17日(現地時間)に報じた。オンチェーン分析を手がけるLookonchainによると、このウォレットは2018年ごろ以降、直近まで目立った動きがなかった。
5908BTCの取得当時の価値は約9964万ドル(約149億円)で、ビットコイン価格は1万6865ドル前後だった。足元では6万4700ドル台で推移しており、評価益は約2億8300万ドルと推定される。
市場で注目を集めているのは、今回の移動のタイミングだ。ビットコインは2025年10月に付けた史上最高値(ATH)の12万6200ドルに比べ、約49%安い水準で取引されている。
この大口保有者が2025年の高値圏で売却していれば、5908BTCの価値は約7億4560万ドル(約1118億円)に達していた計算となる。現在の評価額との差は約3億6290万ドル(約544億円)だ。
もっとも、最高値から大きく調整した後でも、長期保有者の収益余地はなお大きい。2025年の上昇相場前からビットコインを保有していた初期投資家は、現在も相応の含み益を維持しているという。
こうしたなか、市場参加者は今回の下落局面が終盤に入ったかどうかを見極めようとしている。市場評論家のセスはX(旧Twitter)への投稿で、「今ビットコインを売るのは犯罪に等しい」と主張した。
さらにセスは、「約54%の調整と1000億ドル(約15兆円)規模の清算の後で売るのは、貧しい人だけがすることだ」とも投稿した。大幅下落を経たことで、追加下落リスクより反発余地の方が大きいとの見方を示した形だ。
オンチェーンデータも、こうした見方を裏付ける動きを示している。CryptoQuantのアナリスト、トップノッチYJは、ビットコイン市場が「健全な蓄積局面」に入っていると分析した。
トップノッチYJは、高レバレッジに伴うリスクは残るものの、投資家の買いは継続していると指摘。2025年の投機的な強気相場を経て、市場は構造的なもみ合い局面へ移行したとの見方も示した。
その根拠として、損益実現比率を示すSOPRが1.0近辺で安定していることに加え、取引所の保有残高が減少している点を挙げた。売買の均衡と長期保有の積み上がりが同時に進んでいるという。
今回の大口ウォレットの移動は、価格が高値から大きく下げた局面でも、初期保有者の利益構造がなお維持されていることを示した。同時に、オンチェーン指標や取引所保有量の変化からは、市場の関心が短期売買から蓄積へと移りつつある様子もうかがえる。