Samsung Electronicsは7月19日、サウジアラビア主要8都市の約100モスクに、天井埋め込み型システムエアコン約1000台を供給すると発表した。宗教施設向け案件を足場に、中東でのB2B空調事業を拡大する。
供給するのは、円形デザインを採用した天井埋め込み型システムエアコン「360カセット」。高天井で開放的な礼拝空間を想定し、気流を全方向に広げることで、空間全体を均一に冷やせるようにした。
同社によると、特許取得済みのブースターファン技術により、ブレードによる気流損失を抑え、冷気を水平方向に広く届けられるという。天井設置型のため、床面スペースを有効活用しやすい点も特徴としている。
モスクは天井が高く、内部も開放的な構造が多いため、全方位の冷房性能が重要になる。Samsung Electronicsは静音性にも配慮し、礼拝空間に適した低騒音設計を採用したとしている。
室外機は、サウジアラビアの高温環境を踏まえ、外気温が50℃を超える条件でも安定した冷房運転ができるよう設計した。あわせて、パネルにはイスラムの伝統文様を反映した専用デザインを採用し、内装との調和も図った。
同社は6月、現地パートナーのGhoroos Charityと業務協約(MOU)を締結しており、これを通じてサウジアラビアのモスク向け供給協力を広げる方針だ。
中東でのB2B事業は、モスク向けにとどまらない。2025年には、サウジアラビア・リヤドの公共交通施設にシステムエアコンを供給したほか、アラブ首長国連邦ドバイの私立学校Royal Grammar School Guildford Dubai(RGSGD)には、ビル統合ソリューション「b.IoT(Building Internet of Things)」を納入した。
イム・ソンテク氏(Samsung Electronics DA事業部副社長)は「今回の供給は、礼拝空間の特性と現地文化を踏まえたカスタムHVACソリューションの競争力を示す事例だ」とコメントした。その上で、地域ごとの環境や顧客ニーズに合わせた多様なHVACソリューションを通じ、中東のB2B HVAC事業を引き続き拡大していく考えを示した。