韓国のゲーム各社が、8月の「Gamescom 2026」と9月の「東京ゲームショウ2026(TGS 2026)」への出展を相次いで決めた。GamescomではPC・コンソール向けの新作、TGSではサブカルチャー系タイトルや日本展開を控えた作品を前面に押し出し、海外市場での反応確認や商談機会の拡大を狙う。
◆Gamescom 2026、韓国3社がPC・コンソール新作を訴求
Gamescom 2026は8月26日から30日まで、ドイツ・ケルンのケルンメッセで開かれる。主催者によると、早期登録した出展企業数は前年を15%上回り、40カ国超の企業が参加する見通しだ。韓国を含む23カ国の国別パビリオンの運営も決まった。
2025年のGamescomには128カ国から35万7000人が来場し、72カ国1568社が出展した。2026年は、ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領が8月27日に「Gamescom Congress」で基調講演を行う予定で、政財界からの参加も見込まれている。主催側は過去最大規模になるとの見方を示している。
韓国勢の中で最も積極的な動きを見せているのがKRAFTONだ。ケルンメッセ9ホールのB2Cエリアに単独ブースを構え、PUBG Studiosの未公開新作のほか、「NO LAW」「Project Zeta」「Age Twister」「Tare: Unbound」など計5タイトルを披露する。
このうちPUBG Studiosの未公開新作は、「BATTLEGROUNDS」IPをベースにした作品で、Gamescomで初公開となる。「Age Twister」と「Tare: Unbound」も、来場者向け試遊を今回初めて実施する。
会場では試遊に加え、参加型ミッションやステージ対戦、コスプレイヤーのフォトタイムなど、IPごとの体験型プログラムも用意する。KRAFTONは2022年に初めてGamescomに参加し、2024年から2026年まで3年連続で出展することになる。
Pearl AbyssはSamsung Electronicsと組み、「Crimson Desert」を出展する。Samsung Electronicsのブースでは、6Kゲーミングモニター「Odyssey G8(G80HS)」を備えた試遊用PC30台を設置し、来場者が作品を体験できるようにする。
「Crimson Desert」は、3月20日の発売から83日で累計販売本数が600万本を突破したという。今回の協業は、Pearl Abyssの新エンジン「BlackSpace Engine」によるグラフィックス性能と、Samsung Electronicsのゲーミングディスプレイ技術を同時に訴求する場となりそうだ。
NCSOFTは北米子会社のNC Americaを通じてB2Bブースを運営する。B2C展示ではなく、パートナーシップ強化を主眼に据えた出展で、MMORPG「AION2」を披露する。「Cinder City」「Guild Wars 3」など追加タイトルの出展有無は最終調整中としている。
中小・インディー各社もGamescomに参加する。韓国コンテンツ振興院はB2Bエリアに韓国共同館を設け、中小・インディーゲーム会社13社の出展を支援する。AiburtonのFPS新作「Guns & Dragons」やEmotionWaveの「Mu Drum」などを会場で公開する予定だ。
◆TGSはサブカル系と日本展開タイトルが中心に
TGS 2026は9月17日から21日まで、千葉市の幕張メッセで開催される。30周年の節目を迎え、会期を初めて1日延長して5日間で実施する。コンピュータエンターテインメント協会(CESA)によると、世界51カ国・地域から759社が参加し、3946小間規模になる見通しだ。
Nexonは、サブカルチャー系の新作「Project RX」とMMORPG「Mabinogi Mobile」を出展する。「Project RX」は、「Blue Archive」を手がけたNexon GamesのIO本部傘下RX Studioの新作で、米国の「Anime Expo 2026」でも展示スペースを運営した実績がある。
「Mabinogi Mobile」はDevCATが開発し、2025年に韓国で発売したタイトルだ。年内の日本展開を控えており、TGSを通じて現地ユーザーとの接点拡大を図る。
NCSOFTは、Dynamis Oneが開発中のサブカルチャーRPG「Astra: Oratio」名義で出展社リストに掲載された。TGSに先立ち、8月15〜16日に日本で開かれるサブカルイベント「Comic Market」にもブースを構え、アートブックの公開などを通じて現地ユーザーとの接点を先行して広げる方針だ。
Netmarbleは「Shangri-La Frontier」IPをベースにした新作「Shangri-La Frontier: Seven Strongest Species」を、Smilegateは昨年に続き収集型RPG「Miraesi: The Unseen Future」を主力タイトルとして打ち出す見通しだ。
このほか、NHNは日本法人のNHN Japanを通じて出展し、Com2uSはB2B形式で参加する。Dreamage、Ironmace、Project Moonなどの中堅ゲーム会社に加え、ゲーム特化型AI企業のAnchornodeも出展を表明した。Samsung ElectronicsとNaver WebtoonもB2Bエリアに参加する。
韓国コンテンツ振興院は、韓国共同館を通じて国内の中小・ベンチャーゲーム企業の出展を支援する。
◆海外売上比率の上昇がゲームショウ戦略を変える
韓国ゲーム各社がGamescomとTGSの2大イベントへの出展を強化する背景には、海外依存を強める売上構造がある。KRAFTONは2026年第1四半期売上高の95.9%を海外で計上し、Pearl Abyssは94%、Netmarbleも79%を海外売上が占めた。
韓国国内市場だけでは成長余地に限界が見え始めており、グローバルで通用するIPの確保が各社の重要課題として浮上している。
ジャンルとプラットフォームの多様化も追い風になっている。確率型アイテム規制の強化やモバイルMMORPG市場の伸び鈍化を受け、各社はPC・コンソール分野へと軸足を広げている。SteamやPlayStationを通じたグローバル同時発売も一般化しつつある。
こうした変化を受け、韓国内ユーザーの反応だけでは新作の競争力を測りにくくなった。業界では、海外ゲームショウが作品の完成度や市場性を見極める場として重要性を増しているとの見方が出ている。
TGSの位置付けの変化も目立つ。米国のE3終了後、グローバル新作を大規模なオフラインで発表できる場は減っており、GamescomとTGSの相対的な存在感は高まっている。とりわけサブカルチャー系ゲームでは、日本市場の特性からTGSを有力なショーケースとみなす傾向が強い。
Nexon、NCSOFT、Smilegateがサブカル系新作について、韓国のゲームイベント「G-STAR」より先にTGSへの参加計画を公表したのも、こうした流れを反映した動きといえそうだ。
業界関係者は「売上構造がすでに海外中心へ移る中、Gamescomと東京ゲームショウは新作の完成度を検証する場であると同時に、グローバルパブリッシャーや投資家との接点を広げる舞台になっている」と話す。「ジャンルや地域特性に応じて、西欧圏はGamescom、アジア圏は東京ゲームショウと役割を分ける流れは今後も続くだろう」としている。