画像=Moonshot AIが公開したオープンウェイトモデル「Kimi K3」(Moonshot AIのX公式アカウントより)

中国のAIスタートアップMoonshot AIが現地時間16日に公開したオープンウェイトモデル「Kimi K3」が、米テック業界で注目を集めている。コーディング関連ベンチマークで上位に立ったことに加え、API価格の安さも評価されている。一方で、ベンチマークの結果だけでは実運用での信頼性を判断できないとして、慎重な見方も出ている。米Business Insiderが17日、こうした反応を報じた。

Kimi K3の総パラメータ数は2兆8000億で、公開済みのオープンウェイトモデルとしては最大級とされる。数百ページ規模の文書を一度に扱えるとされ、長文処理や大規模コードベースの分析に強みを持つという。AI評価プラットフォーム「Arena」のフロントエンドコーディング部門では、AnthropicのClaude Fable 5を上回り首位となった。

価格競争力も特徴だ。API料金は入力100万トークン当たり3ドル、出力100万トークン当たり15ドル。OpenAIのGPT-5.6 Solは入力5ドル、出力30ドル、AnthropicのClaude Fable 5は入力10ドル、出力50ドルで、Kimi K3は競合を下回る水準となっている。

Moonshot AIはAlibabaとTencentから出資を受けており、企業価値は約315億ドルと評価されている。27日にはモデルの重みを公開する予定だ。今回の発表は、17日に上海で開幕する「2026世界人工知能大会(WAIC)」を前に行われた。

### オープンモデル躍進に期待 ベンチマーク偏重には警戒も

VercelのCEO、ギイェルモ・ラウチ氏は、「総合的なWebエンジニアリングのベンチマークで、オープンモデルがすべてのクローズドモデルを上回ったのは初めてだ」と評価した。その一方で、「ベンチマークがすべてを物語るわけではない」とも指摘した。

BoxのCEO、アーロン・レビー氏は、オープンモデルがこの水準の性能を示したことについて「本当に驚きだ」とコメントし、「AIを軸に事業を構築する企業にとって大きな勝利だ」と評価した。最先端級のAI性能が低コスト化することで、企業でのAI活用が一段と広がるとの見方を示した。

ベンチャー投資家のジェイソン・カラカニス氏は、ここ30日間のAIの進歩は直近30カ月を上回るペースだと主張した。そのうえで、2026年は汎用人工知能(AGI)の年になり、2027~2028年には超知能が登場する可能性があるとの見方を示した。

Moonshot AI創業者のヤン・ジーリン氏をカーネギーメロン大学(CMU)の博士課程で指導したラス・サラフートディノフ教授も、「オープンソースコミュニティにとって大きな勝利だ」と述べ、成果を歓迎した。

一方で、冷静な見方もある。ウォートン校のイーサン・モリック教授は、Kimi K3について「これまで登場した中で最先端モデルに最も近い」と評価しつつ、ベンチマークの点数だけで判断すべきではないと助言した。自身の過去の学術論文について統計手法の検証をKimi K3に行わせたところ、複数の誤りが見つかったと説明している。

Metaの元プロダクトマネジャーであるシャオイン・チュウ氏は、OpenAIとAnthropicだけが近い性能を示している現状を踏まえ、「米国は技術的優位を守れるのか」と疑問を呈した。

米政界では、より警戒感の強い反応も出ている。トランプ政権でAIアドバイザーを務めるデイビッド・サックス氏は、中国のモデルがフロントエンドコーディング分野で首位を獲得したのは初めてだとして、「懸念される」と述べた。データセンター規制や州ごとに乱立する規制、連邦レベルでの事前承認要求などを挙げ、「こうして米国はAI競争で後れを取る」と批判した。

AI業界の批評家として知られるゲイリー・マーカス氏は、米クラウド企業の設備投資が2027年に約1兆ドルに達し、中国の8倍になるとするGoldman Sachsの分析を引用し、「議会が調査すべきだ」と主張した。

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