金融活動作業部会(FATF)は、ステーブルコインを悪用した違法資金移動が増えているとして、各国に対し、暗号資産のマネロン対策基準の執行を急ぐよう求めた。トラベルルールの法制化は進展したものの、監督・執行が十分に機能していない地域が多いとみている。
Cointelegraphが16日付で報じたところによると、FATFは最新の年次レビュー報告書で、オンチェーン上の犯罪活動の大半が米ドル連動型ステーブルコインに関連していると明らかにした。
報告書では、犯罪ネットワークが資産凍結や差し押さえを回避する手段として、ステーブルコインの利用を強めていると警告した。資産凍結や差し押さえを逃れやすくすることを念頭に、独自のステーブルコイン開発に着手した事例も確認されたという。FATFは、こうした動きが規制の空白を突いて広がっているとして、マネロン対策基準の実施を一段と加速させる必要があると強調した。
この年次レビューは、各国・地域における暗号資産分野のマネロン対策基準の実施状況を点検するもの。調査対象の83%がトラベルルールを法制化しており、1年前の73%から上昇した。ただ、多くの地域では法的枠組みの整備が実際の監督・執行に結び付いていないと指摘した。
トラベルルールは、金融機関やデジタル資産サービス提供者に対し、一定額以上の越境送金や暗号資産取引について、送金人と受取人の情報共有を義務付けるルールを指す。対象額は1000ドルまたは1000ユーロとしている。
FATFはこのほか、国外拠点を持つ暗号資産サービス提供者への対応や、分散型金融(DeFi)のリスク評価も引き続き課題に挙げた。DeFiについては、規制の空白地帯となるおそれがあると警戒感を示した。