暗号資産関連機能の内製化を進めるMorgan Stanley。写真=Shutterstock

Morgan Stanleyが、暗号資産のカストディーやステーキング、融資に伴う担保管理機能の内製化に向け、信託銀行の設立手続きを進めている。米通貨監督庁(OCC)は6月、デジタル資産に特化した国家信託銀行の設立について、同社に条件付きで予備承認を与えた。

CryptoSlateの15日付報道によると、設立が計画されているのは「Morgan Stanley Digital Trust」。申請書では、Morgan Stanleyの資産管理部門の顧客を対象とする完全子会社の国家信託銀行として位置付けている。

同行が設立されれば、資産保管に加え、取引事務、受託者型ステーキング、関連会社によるデジタル資産融資を支える担保管理までを、銀行内で一体的に扱えるようになる。申請内容には、カストディーのほか、売買やスワップ、資産移転、受託者型ステーキング、担保管理が盛り込まれた。

狙いは、暗号資産サービスの中核となる統制機能を外部の専業事業者に依存せず、グループ内に取り込むことにある。最終承認を得れば、Morgan Stanleyは顧客資産の保管と取引管理、ステーキング運営、融資担保業務を一体運営する体制を整えることになる。

OCCの記録でも同様の内容が確認できる。申請は持ち株会社傘下での新規銀行認可として分類され、信託権限の付与もあわせて求めた。認可手続きは6月18日付で記録された。

こうした枠組みが整えば、従来の暗号資産専業事業者には一定の影響が及ぶ可能性がある。信託銀行の機能と重なるカストディー事業者、ステーキング管理事業者、担保サービス提供事業者は、直接的な競争圧力にさらされやすい。

Morgan Stanleyが中核機能を自社で抱え込めば、外部事業者は顧客接点や日常的な運用フローにおける主導権を失う可能性もある。一方で、すべての機能が内製化されるわけではない。

取引執行先へのアクセス、市場流動性、融資のカウンターパーティー、バリデーター運用、ブロックチェーンインフラ全般については、引き続き個別の契約や体制整備が必要な領域として残る。OCCへの申請書でも、Morgan Stanleyが銀行内に残す機能と、外部事業者が引き続き担う領域を切り分けて示している。

最終承認には、資本要件と流動性要件の充足が必要だ。OCCの「Corporate Decision 1378」によると、Morgan Stanley Digital Trustには最低5000万ドルの基本資本に加え、独立した流動性資産枠を確保することが求められる。あわせて、運営費180日分に相当する流動性の維持も必要となる。

今回の動きは、米国で国家レベルの暗号資産カストディー権限を誰が握るのかを巡る競争の一環でもある。Morgan Stanleyは、資産保管と資産移転、受託者型ステーキング、関連会社向け融資の担保支援を単一の枠組みに統合する構えだ。

外部の暗号資産サービス事業者にとっては、銀行が内製化しない領域で、どのような付加価値を示せるかが改めて問われそうだ。

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