サム・アルトマン氏。写真=Reve AI

OpenAIがAIモデルの価格競争で攻勢を強めている。サム・アルトマン氏は15日、主力モデル「GPT-5.6 Sol」について、Anthropicの「Claude Fable5」より安価で、必要であれば4分の1の価格でも提供できるとX(旧Twitter)に投稿した。

香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストによると、アルトマン氏は、同じタスクを処理する場合、GPT-5.6 SolはClaude Fable5に比べてトークン効率が多くのケースで約2倍だと説明した。その上で、価格はすでに半額水準であり、「4分の1でも喜んで提供する」と述べた。

OpenAIは先週、GPT-5.6 Solを公開した。料金は入力トークン100万当たり5ドル、出力トークン100万当たり30ドル。一方、AnthropicのClaude Fable5は、入力トークン100万当たり10ドル、出力トークン100万当たり50ドルとなっている。

こうした発言の背景には、企業向けAI市場で価格が競争力を左右する要素として一段と重要になっていることがある。Anthropicは今年、グローバル企業やソフトウェア開発者の間で存在感を高めており、とりわけ「Claude Code」がAIコーディング分野でOpenAIとの競争を激化させている。

アルトマン氏はXへの投稿で、「GPT-5.6 Solは、同じタスクをこなす場合、多くのケースでFableの半額で、トークン効率はおおむね2倍だ。4分の1の価格でも提供したい」との趣旨を示した。

OpenAIを取り巻く価格競争は、米企業同士にとどまらない。中国勢の低価格攻勢も強まっている。OpenAIはGPT-5.6シリーズの価格を従来製品より引き下げたものの、主力モデルと中位モデルの価格は依然として中国の主要競合を上回る。

中国のLLM企業Zhipu AIの「GLM-5.2」は、入力トークン100万当たり約1.40ドル、出力トークン100万当たり4.40ドル。DeepSeekの「V4-Pro」の標準料金は、入力トークン100万当たり0.44ドル、出力トークン100万当たり0.87ドルとしている。

中国の大手テック企業も企業顧客の獲得に向け、値下げ競争を広げている。ByteDance傘下のVolcano Engineは14日、企業向けコーディングプラットフォーム「Tray」の利用者を対象に、2026年末までバンドル型AIモデルの利用料を50%割引くプロモーションを発表した。Alibaba、Tencent、MiniMaxもここ数カ月、主力モデルの値下げや販促施策を相次ぎ打ち出している。

こうした流れを受け、企業ユーザーは性能だけでなくコスト構造にも一段と敏感になっている。クローズドモデルは有料クラウド経由での利用が前提となる一方、オープンウエイトモデルはコードを無償でダウンロードし、自社設備に展開できる。

UBSは先月のリポートで、AIのトークンコスト上昇が「大半の組織にとって現実的な懸念」だと指摘した。これを受け、世界の大企業の間ではオープンウエイトモデルへの関心が高まっているという。

中国のオープンウエイトモデルは性能改善のスピードも速い。ゴールドマン・サックスは先週のリポートで、中国のオープンウエイトモデルがクローズドモデルに対し、「知能性能の重大な転換点」に近づいていると評価した。

価格低下と性能向上が同時に進む中、企業にとっては個別モデルの優位性そのものより、総利用コストや導入形態が重要な選定基準になりつつある。

一方で、GPT-5.6 Solの効率性を評価する見方も出ている。独立系AIベンチマーキングプラットフォームのArtificial Analysisによると、同モデルはコーディングエージェントの作業で、DeepSeek V4と比べて出力トークン使用量を約9分の1に抑えながら、より高い総合スコアを記録した。

価格競争が続いても、企業顧客の獲得を左右するのは単純な料金表ではなく、タスク当たりの実コストとトークン効率になりそうだ。

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