Teslaが米国で展開している0%の自動車ローンについて、購入者が本来負担するはずの金利を同社が実質的に補助することで、値下げに近い効果を生む販売施策だとの見方が出ている。公表価格を引き下げずに販売をてこ入れできる点が特徴だ。
米電気自動車メディアのCleanTechnicaが7月15日(現地時間)に報じたところによると、Teslaは米国市場で0%または0.99%の分割払い条件を提示し、需要喚起と在庫圧縮を進めている。
足元の金利環境を踏まえると、無利子ローンは通常成立しにくい。米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利は3.50〜3.75%水準で、主要な貸出金利の基準となるプライムレートは6.75%。一般的な自動車ローン金利も6〜7%台にある。
このため、購入者が0%で資金を借りられる場合でも、金融会社に支払われる金利分は誰かが負担しなければならない。CleanTechnicaは、Teslaがそのコストを補助することで、公表価格を維持しながら実質的な値引き効果を生み出していると分析している。
実際、金利優遇による負担軽減は小さくない。例えば4万ドルを5年、年7%で借りた場合、総利息は約7523ドルになる。3万5000ドルでも、同条件なら利息は約6583ドルに達する。
3万5000ドルを年6%で借りた場合でも、5年返済なら利息は約5999ドル、6年返済なら約6879ドルとなる。0%ローンでは、この利息分が購入者の負担から外れる一方、Tesla側は相応の費用を負担することになる。
つまり、購入者の体感としては、車両価格を6000〜7000ドル程度引き下げたのと近い効果がある。ただし恩恵は値引きとしてではなく、月々の返済額の圧縮や支払利息の削減という形で表れる。
CleanTechnicaは、Teslaが0%と0.99%の条件を使い分けることで、価格体系を崩さずに需要を喚起していると説明している。
こうした販売戦略の背景には、収益性の低下もあるとみられる。近年、Teslaは1台当たりの利益が縮小する中、販売拡大に向けて値下げや在庫車向けの割引、無償オプション、金融優遇策を併用してきた。
大幅な値下げを改めて打ち出すよりも、金融条件を通じて実質的な値引きを提供する方が得策だとの判断があるようだ。
TeslaのWebサイトに掲載された条件も、以前より緩和されたとされる。過去には、0%ローンの適用に車両価格の15〜20%の頭金や、完全自動運転ソフト「FSD」の同時購入が必要とされていたという。
足元では、3万9990ドルのModel Yに対し、約3300ドルの頭金条件が表示されている。ローン期間は基本的に72カ月で、より短い期間も選択でき、最長84カ月まで延長可能とされる。
84カ月の長期ローンでは、無利子の恩恵はさらに大きくなる。CleanTechnicaは、利息負担の軽減効果が約7222ドルに達する可能性に触れている。
購入者にとっては、販売店が車両価格から7000ドル超を直接値引きしたのに近い水準だ。Teslaが直接値下げではなく金融補助を選ぶ理由については、収益性の下支えを意識した判断だとの見方がある。
例えば、3万9990ドルの車両を約3万2770ドルで直接販売すれば、会計上の販売価格や売上総利益はその時点で押し下げられる。原価次第では、損失リスクが高まる可能性もある。
一方、金融補助であれば、公表価格を維持したまま費用負担を一定期間に分散できる。手元資金を使って利息分を肩代わりする方が、直接値下げより管理しやすい可能性があるという。
もっとも、無利子ローンも最終的にはTeslaのコストだ。長期化すれば収益性を圧迫しかねず、販売台数が十分に伸びなければ補助負担だけが膨らむ恐れがある。販売回復に成功しても、1台当たりの利益が低下する可能性は残る。
Teslaは今、販売拡大と収益性維持の両立を迫られている。0%ローンは「無料の融資」というより、車両価格の代わりに金利を補助する実質的な販促策に近い。焦点は、この金融優遇策が実際の販売回復につながるか、そして数千ドル規模の金利補助をどこまで継続できるかにある。