NATOや英国、ドイツでドローン関連の大型投資が相次いでいる。写真=Shutterstock

欧州で、防衛投資の重点をドローンと自律システムに移す動きが鮮明になっている。NATOによる対ドローン能力の強化構想に加え、英国は数十億ポンド規模の投資計画を打ち出し、ドイツはウクライナ向けドローンの大量調達を進めている。米CNBCが15日(現地時間)に報じた。

背景にあるのは、ドローンが補助戦力ではなく、現代戦の中核装備として位置付けられつつあることだ。欧州各国はロシアのウクライナ侵攻後、軍備の立て直しを進める中で、比較的低コストのAI搭載ドローンが偵察や攻撃に加え、既存兵器の射程拡大や自律運用まで担える点を重視している。

NATOは先週、同盟全体として対ドローン能力を強化する方針を正式に示した。マーク・ルッテ事務総長は、今後5年で対ドローン分野に400億ドル超を投じる構想を明らかにし、NATOをドローン戦に対応できる軍事同盟へ転換すると説明した。

ルッテ氏は、ドローンが現代戦の性格を根本から変え、戦場での「決定的要素」になったと強調した。

英国も自律システムへの投資を加速している。英国政府は6月末に公表した国防投資計画で、戦力強化を目的とする「英国ドローン転換」プログラムに50億ポンドを投じる方針を示した。

欧州主要国では、ドローン本体の整備にとどまらず、対ドローン能力の整備も含めて予算を組む動きが広がっている。

ドイツはウクライナ支援の拡大とあわせ、調達規模も引き上げている。防衛産業・ソフトウェア企業Auterionと、ウクライナのドローンメーカーSkyFallは14日、欧州のNATO加盟国から、AuterionのOSを搭載したドローン5万機を受注したと発表した。受注額は9000万ユーロ規模で、発注元はドイツという。

Auterionのローレンツ・マイヤーCEOは、今回の戦争について、ドローンが広く普及した状態で本格的な軍事的役割を果たした初の戦争だと指摘した。その上で、戦場ではソフトウェアの重要性が一段と高まっているとし、同社のOSは電波妨害を受けてもドローンが目標に突入でき、戦闘環境での運用効率を高めると説明した。

無線の見通し外にある目標への攻撃を支援する機能も備えるという。

Auterionは今後、操縦者が機体を1機ずつ操作するのではなく、複数機をまとめて運用する群制御用ソフトウェアの導入も計画している。今回の受注はウクライナ向けだが、ドイツ、ノルウェー、英国、フランスの軍も同技術に関心を示しているという。

恩恵はドローンメーカーだけにとどまらない。Morningstarのロレダナ・ムハレミ・アナリストは、将来の防衛体制は階層化された戦場へ移行していると分析する。戦車は砲弾を撃つだけでなくドローンも運用し、衛星や無人機からリアルタイムの目標情報を受け取りながら、戦場ネットワークの一部として機能するという。

これに伴い、リアルタイム指揮を支えるセキュア通信、戦場管理ソフトウェア、AI、衛星ベースの情報、センサー、電子戦システムの需要も拡大している。

ムハレミ氏は、自律性、防空、センサー、電子戦、ソフトウェア、宇宙分野にまたがって事業を展開する企業が、今後の国防費拡大の恩恵を受ける可能性が高いとみる。低コストのドローンと高額な兵器を組み合わせ、敵の防空網を分散・飽和させる運用が広がれば、関連エコシステム全体の需要増につながるとの見方だ。

資金面でも追い風が吹く。McKinseyによると、欧州の中核的な国防支出は2019年以降で2倍に増えた。NATOが2035年に国内総生産(GDP)比3.5%を目標に掲げていることを踏まえると、2030年には約8000億ユーロ、GDP比約2.9%に達する可能性がある。

防衛技術スタートアップへの投資も、2025年に欧米で急増した。欧州の防衛技術分野の資金調達額は、2021年の約2億ユーロから、2025年には26億ユーロへ拡大した。

こうした中、Helsingは14日、新たな資金調達により企業価値が180億ドルと評価された。Helsingはドローンや水中監視兵器のほか、それらを支えるAIと自律ソフトウェアを開発している。

欧州の防衛産業では、従来型の兵器体系だけでなく、ソフトウェアと自律性こそが将来の戦争を左右するとの見方が強まっており、関連分野への資金集中が一段と進んでいる。

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