ドナルド・トランプ米大統領は15日、暗号資産市場構造法案「クラリティ法案」の最終的な争点となっている倫理条項を巡り、上院議員と会談する予定だ。民主党は政府高官の利益相反規定を法案支持の条件としており、上院指導部は8月7日までの本会議上程を目指して調整を急いでいる。
Bitcoin MagazineやPoliticoなどが15日(現地時間)、こうした動きを報じた。焦点となっているのは、大統領を含む政府高官が暗号資産業界に個人的な利害関係を持つことをどこまで制限するかだ。民主党は、この規定がなければ最終採決に協力できないとの立場を崩していない。
背景には、トランプ氏と暗号資産業界との関係がある。トランプ氏はこれまで上院に法案可決を促してきたが、自身の暗号資産関連ビジネスにも影響しかねない利益相反規定をどの水準まで受け入れるかは明らかにしていない。
交渉に参加するオハイオ州選出の共和党、バーニー・モレノ上院議員は、上院議員らがトランプ氏に法案成立までの見通しを説明すると述べた。その上で「革新を導いたのはトランプ大統領だ」と語り、法案推進における同氏の影響力を強調した。
法案の行方は、トランプ氏がどの条件を受け入れるかに左右されるとの見方が出ている。とりわけ、トランプ氏が2025年の暗号資産関連事業で10億ドル超(約1500億円)の収入を得たと開示して以降、批判派は利益相反への懸念を一段と強めている。民主党は、こうした問題を解消できなければ、法案によって業界と政界の利害を切り分けられないとみている。
上院銀行委員会は先に、同法案を賛成15、反対9で可決した。この際、民主党のルーベン・ガイエゴ、アンジェラ・オルスブルックス両上院議員は共和党とともに法案審議入りを支持したが、5月の時点で倫理条項が盛り込まれなければ最終採決では支持しないと表明していた。
委員会審査では、クリス・バンホーレン上院議員が、大統領、副大統領、連邦議会議員による暗号資産事業への関与を禁じる修正案を提出したが、賛成11、反対13で否決された。
民主党内の反対論も続いている。一部の民主党上院議員は記者会見を開き、トランプ氏と暗号資産業界との関係を断てないのであれば、クラリティ法案に反対すべきだと主張した。これらの議員は、同氏と業界の結び付きについて「腐敗」だと批判している。
修正案の公表時期も固まっていない。ワイオミング州選出の共和党で法案策定の中心人物とされるシンシア・ルーミス上院議員は、早ければ15日中にも草案が配布される可能性があると明らかにした。ただ、上院議員らは倫理条項を今回の修正案に盛り込むか、後日に持ち越すかで判断を迫られている。
上院指導部は、8月7日までの本会議上程を目指している。共和党のジョン・スーン上院院内総務は、民主党との合意がなくても採決を進めるのかとの質問に対し、「いずれ採決に付す」と述べた。上院は8月第1週以降、夏季休会に入る。
このため、11月の中間選挙局面に入る前に法案をまとめる時間は限られている。最大の焦点として残るのは、政治的妥協が成立するかどうか、とりわけ倫理条項をどう扱うかだ。
Galaxy Researchは、時間が限られる中で法案成立の可能性を五分五分とみている。今回のホワイトハウスでの会談は、米国の暗号資産市場構造法制の行方を占う重要局面となりそうだ。