Coinbase(写真=Shutterstock)

米政府関連とみられるビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)約2億8833万ドル(約432億円)相当がCoinbase Primeに移管され、戦略的ビットコイン備蓄の運用を巡る見方に関心が集まっている。ただ、現時点で確認できるオンチェーン情報だけでは、実際に売却が行われたのか、備蓄ルールに抵触するのかは判断できない。

ブロックチェーンメディアのCryptoSlateによると、15日(現地時間)、米政府関連とされるウォレットから約8時間にわたり、BTC3941枚とETH3万7000枚がCoinbase Primeへ送られた。

この動きはオンチェーン分析アカウントのLookonchainが最初に伝えた。ブロックチェーン分析企業Arkhamは、移管された資産の価値を約2億8833万ドルと試算している。

もっとも、今回の移管が直ちに市場売却を意味するわけではない。Coinbase Primeは取引基盤にとどまらず、機関投資家向けにカストディや資産管理、資産処分の執行支援などを提供している。このため、資産が移された事実だけで、米政府がBTCを売却したと結論付けるのは難しい。

市場の関心は、今回移管されたBTCが戦略的ビットコイン備蓄の対象だったのかどうかにある。米政府は2025年3月の大統領令で同制度を導入し、備蓄に組み入れられたBTCについては原則売却できない枠組みを定めた。

ただし、政府保有のBTCがすべて自動的に備蓄対象となるわけではない。財務省が保有するBTCのうち、最終的な没収手続きが完了し、ほかの法的義務や例外規定の対象とならない資産に限って、戦略的ビットコイン備蓄に組み入れられる。

現時点のオンチェーンデータだけでは、今回のBTCが実際に戦略備蓄資産に該当するかは確認できない。判断には、当該資産が備蓄口座に組み入れられていたかに加え、禁止された処分が行われたかどうかも確認する必要がある。

ETHについては、BTCとは適用される枠組みが異なる。大統領令では、最終没収されたBTCを戦略的ビットコイン備蓄として管理する一方、ETHを含むその他のデジタル資産は別枠の「U.S. Digital Asset Stockpile」として管理すると定めた。財務省には、関連法令に基づき責任ある管理戦略を策定することが求められている。

また同大統領令は、被害者補償、法執行、裁判所命令、衡平な分配といった法的義務を履行するための資産処分の余地も残している。このため、今回の移管だけをもって戦略的ビットコイン備蓄の規定違反とみなすのは難しい。

Coinbaseは2024年7月、米連邦保安官局(USMS)が大規模なデジタル資産のカストディと機関投資家向け取引サービスの提供事業者としてCoinbase Primeを選定したと公表している。今回の移管も、資産管理やカストディ集約など複数の運用目的の一環である可能性がある。

今後の焦点は、後続の公式資料や当局発表だ。実際に売却があったかどうかは、財務省や司法省、USMSの公表内容に加え、裁判所の没収・処分記録、カストディ事業者の執行内訳などを照合する必要がある。仮にCoinbase Primeから資産が再び外部へ移ったとしても、こうした公式な根拠が示されない限り、その意味合いを断定することはできない。

現時点で確認できるのは、米政府関連の暗号資産が、契約先の機関投資家向けカストディ・取引基盤に移されたという事実にとどまる。今回のBTCが実際に戦略的ビットコイン備蓄の対象だったのか、どの政策や手続きに基づいて運用されているのかは、なお明らかになっていない。

キーワード

#ビットコイン #イーサリアム #Coinbase Prime #米国政府 #戦略的ビットコイン備蓄 #オンチェーン
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.