Bitmineの最新四半期決算で、ETHを軸にした財務戦略の明暗が鮮明になった。イーサリアム(ETH)のステーキング・バリデーター事業は収益を押し上げた一方、ETH連動オプション取引の損失が重く、四半期純損失は8360万ドルとなった。
CryptoSlateが15日に報じた内容によると、Bitmineの会計年度第3四半期決算は、ETH中心の財務戦略が収益機会とリスクを併せ持つ構図を浮き彫りにした。
5月31日までの四半期売上高は4650万ドルで、前年同期の210万ドルから大幅に増加した。ビットコイン採掘中心だった事業構造を、ETHを中核とする財務モデルへ転換したことが寄与した。
このうち、ステーキングおよびバリデーター事業の売上高は4570万ドルだった。一方で、ETH連動オプション取引では9210万ドルの損失を計上した。
デリバティブ損失の内訳は、満期到来したオプション契約で7860万ドル、権利行使されたポジションで1400万ドル。未決済契約からの利益は53万4000ドルにとどまった。
年度累計9カ月のデリバティブ損失は1億3330万ドルに達し、同期間のステーキング・バリデーター事業の収益5690万ドルの2倍を超えた。ステーキングが継続収益源として立ち上がる一方、デリバティブ運用の損失がその大半を打ち消した格好だ。
ETH保有拡大の過程では、既存株主の持分希薄化も進んだ。Bitmineは9カ月間でBMNR株を約3億4070万株発行し、費用控除後で118億7000万ドルを調達した。
同期間のETH購入額は116億9000万ドル。この結果、発行済み普通株式数は2025年8月31日時点の2億3240万株から、2026年5月末には5億7970万株へと149%増加した。
Bitmineは5月末時点で542万ETHを保有していた。累計取得原価は190億5000万ドルだったのに対し、当時の保有資産価値は108億6000万ドルで、取得原価を約82億ドル下回った。
評価額は取得原価比で約43%低く、この下落が年度累計9カ月に発生した90億4000万ドルの未実現デジタル資産損失の大半を占めた。同期間の総純損失は91億ドルに達している。
固定費負担も続いている。Bitmineは「Ethereum Tower」との10年契約に基づき、当四半期に1280万ドルを費用計上した。契約にはコンサルティング、資産管理、カストディ、ステーキングサービスが含まれる。
この費用は、四半期のステーキング・バリデーター事業売上高の約28%に相当する。
さらにBitmineは、「Pier Two」買収後、バリデーター事業者MAVANに関連してEthereum Towerと追加の管理サービス契約も締結している。
この契約により、Ethereum TowerはMAVAN持分2%に加え、プラットフォーム上で発生するネイティブのステーキング報酬の一定割合を毎月受け取る権利を持つ。5月31日時点では、この契約に伴う費用はまだ計上されていない。
もっとも、足元の流動性には一定の余力がある。5月末時点の現金は3億4030万ドル、運転資本は4億3310万ドルだった。
一般的な借入金はなく、総負債は約3010万ドル、総資産は116億3000万ドルだった。
Bitmineは、手元資金に加え、想定営業キャッシュフローや販売登録、ATMプログラムを通じて、少なくとも今後12カ月に必要な流動性を確保できるとしている。
ただ、ETH財務戦略を継続的に拡大できるかどうかは、資本市場へのアクセスに一部左右されるとも警告した。ETH価格の下落、Bitmine株の軟調、投資需要の鈍化が重なれば、追加調達コストの上昇や証券発行環境の悪化につながる可能性があるという。
今回の決算は、BitmineのETH財務戦略が持つ二面性を示した。ステーキング事業は四半期ベースで数千万ドル規模の売上高を生み、デジタル資産の評価損益を除けば中核的な運営費を賄い始めている。
その一方で、デリバティブ損失、長期管理契約に伴う費用、大規模な株式発行によるETH積み増しは、既存株主の収益性を圧迫している。
今後の焦点は、ステーキング収益がデリバティブ損失と財務コストを安定して上回れるか、また資本市場へのアクセスを維持しながら追加の株式希薄化を抑えられるかに移る。