中国の都市交通で進むEVシフトが燃料需要を抑えている。写真=Shutterstock

中国の原油輸入が約9年ぶりの低水準に落ち込んだ。ホルムズ海峡を巡る供給不安が続くなか、電気タクシーや配車サービスの車両の急速なEV化が石油需要を押し下げているとの見方が出ている。

CryptoPolitanが15日(現地時間)に報じたところによると、中国の6月の原油輸入は2927万トンで、前年同月比41.3%減少した。2016年10月以来の低水準という。

今回の落ち込みは、2月末以降の中東情勢の緊張長期化と重なった。コロンビア大学グローバルエネルギー政策センターは、中国の海上原油輸入の約45〜50%がホルムズ海峡を通過すると推計している。供給リスクが高まるなかで、中国のEVシフトによる需要抑制効果が一段と目立っている。

変化が最も大きいのはタクシーと配車サービス市場だ。中国交通運輸部によると、全国のタクシー約130万台のうち、すでに半数近くがEVとして運行している。一部の大都市では、電動化率がほぼ100%に達したとされる。

配車プラットフォームのDidi ChuxingもEV化を加速している。同社は昨年、EVとハイブリッド車を200万台追加し、対象車両は計800万台に拡大した。ITメディアのTNWが引用したデータでは、Didiの予約走行距離全体の75%をEVが占める。都市部の移動需要の多くが、すでに電動車中心へ移っていることを示す。

燃料消費の指標も同じ流れを映している。中国の5月のガソリン消費は前年同月比10%減、軽油消費は14%減だった。一方で、同期間の道路貨物輸送は2%増え、労働節連休の移動量は過去最大を記録した。タクシーと配車サービスの利用件数も30億5000万件と、1年前から6%増加した。人流・物流が拡大するなかで、石油消費は減少した形だ。

市場では、ホルムズ海峡を巡る地政学リスクが、既存のEV化トレンドをさらに加速させているとの見方が強い。JPモルガンは、中国のガソリン需要が2026年に日量15万バレル減少し、2027年にはさらに日量5万バレル減ると予測した。JPモルガンのアナリスト、ナターシャ・カネバ氏は「今回の紛争が、すでに進んでいた行動変化をさらに加速させた可能性がある」と述べ、中国の石油依存度が市場予想以上のペースで低下する可能性を示した。

こうした変化は、突発的な政策転換というより経済性に支えられているとの分析もある。電気タクシーの普及は、足元の危機以前から運行コストの削減と収益性改善を背景に広がってきた。足元では原油価格の上昇に加え、低価格EVの拡大や新規ドライバーの増加が重なり、タクシー運賃はこの6カ月で10〜15%下落したという。

このため、ガソリン車を保有するドライバーが自家用車として使う代わりに、配車サービスを利用するケースも増えているとされる。

交通分野の専門家は、都市の移動様式そのものが変わりつつあるとみる。交通開発政策研究所で東アジア統括を務めるリュ・デジョン氏は「移動需要全体は増え続けているが、より多くの移動がタクシーや地下鉄などの公共交通に移っている」と説明した。

製油業界にも変化が及んでいる。中国の製油各社における6月の原油蒸留設備の稼働率は57.72%と、過去10年で最低水準に近づいた。中国の原油買い付け減少は、中東情勢の緊張で北海ブレント原油が1バレル79ドル(約1万1850円)を超える局面でも、国際原油価格の上昇を抑える要因になった。

長期的にも、石油需要は減少方向に向かうとの見方が出ている。CNPCの経済技術研究院で主任エコノミストを務めるダイ・ジアチュアン氏は、今後5年以内に中国の原油需要がピークを迎えると予測した。現在の年9億〜10億トンに達する精製能力は、将来の需要と見合わなくなる可能性が大きいとしている。

Greenpeaceも、2035年までに中国のタクシーと配車サービスの走行距離の90%がEVになると見込む。ホルムズ海峡を巡る供給不安は、短期的な需給問題にとどまらず、中国の都市交通と石油消費構造の変化を早める可能性がある。

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