ビットコイン 写真=Shutterstock

ビットコインが6万4000ドル前後でもみ合うなか、市場では大口保有者の売買スタンスに違いが鮮明になっている。既存クジラが大規模な利益確定を進める一方、新規クジラは買い増しを継続しており、需給構造の変化が進んでいるとの見方が出ている。

CryptoSlateが15日(現地時間)に伝えたところによると、100〜1000BTCを保有するウォレットは13日、合計で約6万7000BTCを売却した。現行水準で約43億ドル(約6450億円)に相当し、CryptoQuantは「2月以降で最も強い売り圧力」と分析している。

同日のビットコインは6万1823ドルから6万4832ドルのレンジで推移し、6万4600ドル前後で取引された。市場参加者の関心も鈍く、Santimentによると、X(旧Twitter)やReddit、Telegramなど主要プラットフォームでの暗号資産関連の会話量は、2024年10月以降で日次ベース2番目の低水準まで落ち込んだ。

もっとも、こうした静けさは単なる関心低下ではなく、需給の入れ替わりを映している可能性がある。既存クジラが売りを進める一方、別のオンチェーンデータでは新規クジラのウォレットが継続的にビットコインを積み増していることが確認された。市場では、既存の大口保有者から新規の大口投資家へと保有が移りつつあるとの見方が出ている。

この動きは、大口投資家の相場観が割れていることも示す。足元の価格帯でポジションを落とす投資家がいる一方で、個人投資家の関心が薄れた局面を買い場とみる向きもある。

一方、需給面で課題となっているのは、機関投資家マネーが大口の売りを十分に吸収できていない点だ。Farside Investorsの集計では、米国のビットコイン現物ETFは7月6〜10日の週間で約1億9740万ドル(約296億円)の純流入となったが、13日単日では約4億2470万ドル(約637億円)の純流出に転じた。

Glassnodeは、直近30日ベースのETF純資金フローがマイナスとなっているほか、日次平均の取引量も6億5000万〜9億5000万ドル(約975億〜約1425億円)にとどまり、2025年10月のピークから約80%減少したと分析した。

需給ギャップも大きい。ETFへの週間純流入額は、クジラの1日当たり売却額である約43億ドル(約6450億円)の約22分の1にとどまる。機関投資家の資金流入は続いているものの、大口の売りを全面的に吸収するには不十分との見方につながっている。

価格面では、トレンド転換を判断するにはなお早いとの指摘もある。Glassnodeによると、ビットコインは約5カ月にわたり、短期保有者の平均取得単価である7万2200ドルと、「True Market Mean」の7万6600ドルの双方を下回って推移している。

同社は、これら2つの水準を回復して初めて、本格反発の可能性を論じられるとしている。

長期保有者の実現損失も拡大している。1日当たり約2億8000万ドル(約420億円)に達し、2022年12月以降で最高水準となった。キャピチュレーション(投げ売り)は相応に進んだものの、下落局面の終盤と断定するのは難しいとの評価だ。

マクロ環境も強弱が交錯する。米連邦準備制度理事会(Fed)は6月会合で政策金利を3.50〜3.75%に据え置いた。同月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比3.5%と5月から鈍化したが、Glassnodeは原油高とリスク回避姿勢が引き続き下押し要因になり得ると指摘した。

流動性環境も一様ではない。米国のM2マネーサプライは22兆8000億ドル(約3420兆円)と過去最高を更新した一方、Fedのバランスシートは2023年のピークから約2兆ドル(約300兆円)縮小した状態にある。市場の流動性拡大と金融引き締め的な環境が並存している構図だ。

今後の相場は、需給の変化に左右されるとの見方が多い。新規クジラの買い増しが続き、既存クジラの売りが鈍化し、現物ETFへの資金流入が数週連続でプラスを維持できれば、ビットコインは7万2200ドルと7万6600ドルの回復を試す可能性がある。Citiはこのシナリオで、目標価格として8万2000ドルを示した。

半面、クジラの売りが続き、ETF資金が再び流出超となり、長期保有者の損切りが広がれば、6万ドル前半の下値支持線が揺らぐ可能性もある。Citiは、投資家需要の減速や米国の暗号資産立法の遅れを踏まえ、今後12カ月のビットコイン目標価格を従来の11万2000ドルから8万2000ドルへ引き下げた。景気後退シナリオでは、5万3000ドルまで下落する可能性もあるとしている。

足元の焦点は、投資家の話題性そのものではなく、既存クジラの売りを誰が吸収するかにある。静かな相場のなかで進む新規クジラの買いが、既存クジラの売り圧力をどこまで受け止められるかが、次のトレンドを左右しそうだ。

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