ベン・マッケンジー氏(写真=Shutterstock)

ハリウッド俳優のベン・マッケンジー氏が、米議会で審議が進む暗号資産の市場構造法案「クラリティ法案」への反対を訴えている。ワシントンでは米上院議員と面会し、反対票を投じるよう直接働きかけたという。ブロックチェーンメディアのU.Todayが15日(現地時間)に報じている。

クラリティ法案は、米国におけるデジタル資産規制の枠組みを明確にすることを目的とした法案だ。支持派は、暗号資産業界が長年求めてきた規制の明確化につながるとみている。一方、マッケンジー氏は消費者保護の観点から反対している。

マッケンジー氏は、2000年代のドラマ「The O.C.」でライアン・アトウッド役を演じた俳優として知られる。近年は、ハリウッドを代表する暗号資産批判派の一人として発信を続けてきた。2020年前後には、著名人による暗号資産の宣伝や市場への急速な資金流入に疑問を抱き、調査を踏まえてドキュメンタリー「Everyone Is Lying to You for Money」を制作した。

同作では、業界の批判者や損失を被った個人投資家、FTX元CEOのサム・バンクマン=フリード氏へのインタビューを通じ、暗号資産市場の実態を取り上げた。マッケンジー氏は今年(2026年)初め、作品のプロモーションの中で「投資家はソフトウェアそのものより、その背後にいる人間を警戒すべきだ」と主張していた。

また、FTX破綻前にサム・バンクマン=フリード氏へインタビューした経験にも言及した。同氏は、サム・バンクマン=フリード氏が従業員にコード1行の変更を指示し、顧客資産を借り入れられるようにしたと述べ、「コードだけを信頼できるという考え」の危うさを示す象徴的な例だと訴えた。

マッケンジー氏はビットコインについても批判的な立場を示してきた。ただ、デジタル資産の全面禁止を求めているわけではないとし、論点の核心はあくまで消費者保護にあると強調している。

同氏のドキュメンタリーでも、Celsiusのように破綻した暗号資産企業の被害者に大きく焦点を当てた。マッケンジー氏は、業界の投機的なマーケティングがとりわけ若年男性層を狙っていたとみている。「広告が若い層に大量に投下され、やるべきだというだけでなく、やらなければ取り残されるという圧力が生まれ、暗号資産の購入へと駆り立てた」と批判した。この発言は、マット・デイモンが出演したCrypto.comの広告を念頭に置いたものだという。

こうした動きに対し、暗号資産業界の反発も続いている。Rippleの最高法務責任者(CLO)であるスチュアート・アルデロティ氏は4月、このドキュメンタリーを批判し、デジタル資産の描き方が「陳腐な物語」だと指摘した。産業全体を過度に一般化しているとした上で、すでに数千万人の米国人がこのツールを実際に活用し、収入源の多様化や事業運営、新たな金融機会へのアクセスに役立てていると反論した。

今回の働きかけは、クラリティ法案の審議が山場を迎えるなかで行われた。米政界では、暗号資産業界に対する規制の明確化を優先するのか、それとも消費者保護の仕組みをより重視するのかを巡る議論が続いている。今後の審議では、法案の行方とあわせて、業界と批判派の応酬も続きそうだ。

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