ドナルド・トランプ米大統領(写真=ホワイトハウス公式Xより)

ドナルド・トランプ米大統領は15日、ニューヨーク州が大型データセンターの新設を最長1年間停止する行政命令を批判し、政策の即時見直しを求めた。AI需要の拡大でデータセンター投資が加速する一方、電力や用水の負担、公共料金への影響を懸念する声も強まっている。

Business Insiderなどの海外メディアによると、トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」への投稿で、キャシー・ホークル(Kathy Hochul)ニューヨーク州知事の新たな行政命令について、ニューヨーク州の雇用と産業基盤を損なう措置だと主張した。

問題となっているのは、ホークル知事が14日に署名した行政命令だ。電力使用量が50メガワット(MW)を超える大型データセンターの新規建設を最長1年間停止する内容で、報道では、ニューヨーク州は同種の措置を導入した全米初の事例とされている。

トランプ氏は、データセンターを将来の雇用を生み出す原動力と位置付けたうえで、州にも大きな収益をもたらす施設だと強調した。そのうえで、ホークル知事が政治的理由から、ニューヨーク州で進行中または今後予定されるデータセンター計画を止めたと批判し、この判断を「ひどい決定」と表現した。投稿では、政策を「即刻」変更すべきだとも訴えた。

今回の措置は、AIの普及を背景にデータセンターインフラへの投資が急増する中で打ち出された。大量の電力と淡水を消費するデータセンターが、公共料金の上昇や資源負担の拡大につながるとの反発が広がっているためだ。特に電力料金が上昇する中で、大規模データセンターの新設が住民負担を一段と重くするとの懸念が出ている。

ホークル知事は行政命令の発表資料で、データセンター開発が公共料金を押し上げ、天然資源への負荷を高め、州民に不確実性をもたらしかねないと説明した。こうした局面で対応を主導することが知事としての責務だとも述べている。ニューヨーク州は、電力コストや用水負担に加え、住民の生活費への影響も考慮したとみられる。

一方、トランプ氏もコスト負担の原則そのものを否定したわけではない。データセンターが使用する水や電力の費用は事業者側が負担すべきで、それ以外の利益は州政府や地域社会に還元されるべきだと投稿した。データセンター誘致には前向きな一方、インフラ費用の住民転嫁には反対する立場を示した形だ。

この問題は、米中間選挙を前に政治的な争点としても敏感さを増している。データセンターが電力コストをどこまで自前で負担すべきかを巡る議論が続く中、民主党は生活費負担の問題を前面に押し出している。新たなデータセンター建設に対する住民の反発も残っており、AIインフラ拡大と地域の電力・用水負担のせめぎ合いは今後も続く可能性が高い。

ニューヨーク州の今回の措置は、単なる地域規制にとどまらず、AIインフラ拡張のスピードと公共料金・資源負担を産業側がどこまで引き受けるべきかを問う試金石として浮上している。トランプ氏とニューヨーク州の対立は、この基準を巡る政治論争をさらに広げる可能性がある。

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