みんなのAI(画像=ChatGPT)

政府は、国民向けに無料・無制限で利用できる人工知能(AI)サービス「みんなのAI」を年内に提供する。狙いは外資系AIサービスへの依存低減だ。もっとも、すでに無料AIが広く普及している中で、公的支援によってGPUを投じる以上、既存サービスとの差別化ができるかが焦点になる。

科学技術情報通信部と情報通信産業振興院(NIPA)が13日に公表した「全国民AIサービス普遍的活用支援(みんなのAI)事業」の事業案内によると、政府は民間企業2〜3社にNVIDIAのB200 GPUを最大512基配分する。選定企業は9月末までにベータ版を開始し、12月からは料金や利用量の制限がない汎用AIチャットボットを提供しなければならない。

もっとも、無料AIそのものが不足しているわけではない。事業案内によれば、4月時点の国内月間利用者数はChatGPTが2345万人、Google Geminiが845万人、Anthropic Claudeが241万人だった。これらのサービスはいずれも、モデルや利用量に一定の制限を設けつつ無料版を提供している。国内でもWrtnなどが生成AIサービスを無料で展開している。

AI利用もすでに高い水準にある。韓国知能情報社会振興院(NIA)の「2025インターネット利用実態調査」では、AIサービスの利用経験率は67%、生成AIの利用経験率は44.5%だった。事業案内でも、国内のAI利用者の多くが外資系AIサービスの無料版を使っていると分析している。

政府は、こうした外資系AIへの依存を抑えるうえで「みんなのAI」が必要だとみている。外資系サービスの無料版は利用量に制限があるうえ、今後は価格や提供条件が変わる可能性もあり、国内で安定的に管理しにくいというのがその理由だ。AIが国民の経済・社会活動に不可欠な道具となる前に、安定した国産サービスを確保すべきだとの考えを示している。

科学技術情報通信部の関係者は「全国民にAIチャットボットを安定的に提供することが事業の第一の目標だ」と説明した。そのうえで、「外資系無料版に匹敵する性能を、費用負担も利用量制限もなく提供できれば、利用者の国産サービスへの移行を促せる」と述べた。

成否は、国産AIが既存の外資系無料サービスから利用者を移すだけの競争力を備えられるかにかかっている。

選定企業には、政府の独自AIファウンデーションモデル基準を満たす国産モデルの活用比率を50%以上に維持することが求められる。加えて、他社が開発した国産モデルも30%以上活用しなければならない。外資系モデルの利用は、高度な推論やマルチモーダル対応など、必要最小限の機能に限って限定的に認める。

政府は、国内企業でも外資系無料版と競争できる性能は実現可能だとみている。科学技術情報通信部の関係者は「グローバル企業の有料サービスの水準に追いつくのは現実的に難しいが、無料版に匹敵する性能は出せるという自信を企業側は示している」と話した。

一方で、政府は外資系無料AIに匹敵するサービスを目標に掲げながら、事業案内では比較対象となる外資系モデルや共通の性能基準を明示していない。既存の国内外サービスと比べた機能、技術、ユーザー体験の差別化策についても、申請企業の提案に委ねている。

業界内では、GPUの提供だけで国民向けAIサービスの競争力を確保するのは難しいとの見方が出ている。

AI業界の関係者は「国民向けAIサービスは、モデルの性能だけでは成り立たない。コンテンツやプラットフォーム、大規模利用者を安定的に処理できるインフラがそろって初めて成立する」と指摘した。さらに「利用者は、国産であることや政府支援があることだけを理由に、不便なサービスを使い続けることはない。GPUに加え、コンテンツ確保やサービス開発、運用への投資も必要だ」と話した。

別の関係者も「モデルのベンチマークスコアだけでは、実サービスとしての競争力は判断しにくい」と話す。「同じ質問、同じ利用環境で、回答の正確性や応答速度、エラーや障害の発生率まで比較して初めて、外資系無料サービスに匹敵する品質かどうかを確認できる」と指摘した。

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