Thinking Machines Labのミラ・ムラティCEO。写真=X(ミラ・ムラティ氏)より

OpenAI出身のミラ・ムラティ氏が率いるAIスタートアップThinking Machines Labは、初のオープンウェイトモデル「Inkling(インクリング)」を公開した。あわせて、企業が追加学習や微調整を行うための基盤「Tinker」も提供する。画一的なモデル提供ではなく、企業ごとのカスタマイズを前提に据えた戦略を打ち出した。

Inklingは、外部の開発者や企業がダウンロードして直接改変できるオープンウェイトモデルだ。クローズドモデルを主軸とするOpenAI、Anthropic、Googleとは一線を画すアプローチとなる。

米TechCrunchによると、InklingはThinking Machines Labがこの約1年半、非公開で整備してきたAIインフラを初めて示した事例となる。報道は15日(現地時間)に行われた。

モデルは総パラメータ数9750億の専門家混合(MoE)構造を採用する。タスクごとに実際に使われるパラメータは約410億。テキスト、画像、音声、動画からなる45兆トークン規模で学習しており、複数モダリティにまたがる推論に対応するという。

同社は、最高性能そのものを競うよりも、企業向けのカスタマイズ戦略を重視する。全顧客が同一モデルを使うより、各組織が自ら調整したAIの方が高い成果を見込めると判断しているためだ。

Inklingは完成済みのサービスというより、企業が用途に応じて仕上げるための出発点として位置付けられている。企業は「Tinker」を通じて追加学習や微調整を実施できる。一方で、そうした運用には安全性管理の責任が伴い、微調整には高度な機械学習の知見も必要になるとしている。

またInklingは、不確実性が高い場合にそれを表示し、ユーザーが速度と推論量のバランスに応じて「思考強度」を調整できるようにする。

同社は、Inklingが公開・非公開を含め現時点で最強のモデルではないことも明記した。そのうえで、あるベンチマークではNVIDIA Nemotron 3 Ultraと同等のコーディング性能を示しながら、トークン使用量は3分の1水準に抑えたと説明している。

Inklingの事前学習は自社で実施した。ただ、大規模な強化学習の前段階に当たる初期のポストトレーニング用データの一部作成では、ほかのオープンウェイトモデルも活用したと認めた。Moonshot AIのKimi K2.5が含まれるという。

次世代モデルでは、ポストトレーニングも全面的に自社体制で進める方針だ。

収益化の手法はなお明確ではない。TechCrunchは、同社がモデル自体の販売ではなく、「Tinker」を通じた学習、微調整、ホスティングのエコシステム手数料を収益源とする構図だと伝えた。Thinking Machines Labの人員規模は約200人。

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