BitMineのトム・リー会長は、Ethereumが底値圏に近づいているとの見方を示し、中長期では「ETH 2.0」を軸に再成長局面に入る可能性があると述べた。暗号資産市場の弱材料や反発シナリオに加え、BitMineのETH確保戦略や保有状況についても説明した。ブロックチェーンメディアのCoinPostが13日(現地時間)に報じた。
リー氏はWebX 2026の特別基調講演で、足元の暗号資産市場が軟調な背景として4つの要因を挙げた。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策見通しの変化を受け、年初に織り込まれていた利下げ期待が後退したことに加え、米国の「クラリティ法」を巡る立法の不確実性が残っている点を指摘した。
さらに、ベンチャー投資マネーがAIに集中し、暗号資産プロジェクトの新規資金調達が難しくなっていることや、金融株の低迷が市場心理の重荷になっていることも弱材料として挙げた。一方で、足元の下落圧力については相応に織り込まれたとの認識も示した。
短期的な値動きについては、テクニカル面から反発余地があるとの見方を示した。トム・デマークの分析を引用し、現在のEthereumの値動きは1987年のS&P500と89.81%の高い相関を示しており、急落後のもみ合いパターンも似ていると説明した。
また、スティーブ・サットンマイヤー氏によると、7月9日時点で1846~1876ドルのレジスタンスラインを上抜ければ、次の目標値として2200ドルが視野に入るという。講演時点のETH価格は1700ドル台だった。
リー氏は短期反発よりも、Ethereumの「第2章」に重点を置いた。Amazon、NVIDIA、JP Morganのように、長期停滞を経た後に新たな成長局面が開く可能性があると主張した。
EthereumはICOとNFTブームを通じて4866ドルまで上昇し、2025年にはETF承認とステーブルコイン拡大を追い風に4955ドルまで回復したものの、足元では1732ドル前後にとどまっているとした。
そのうえで、「ETH 2.0」の4本柱として、新たな財団体制、エージェンティックAI、金融の決済レイヤー、ETHの貨幣性を挙げた。BlackRockのBUIDLファンド、JP MorganのMONYプログラム、SecuritizeとOndo Financeのトークン化事例、RobinhoodのArbitrum基盤レイヤー2チェーン、CoinbaseのBase、KrakenのInkなどを例示し、ウォール街や大手プラットフォームで採用が広がっていると強調した。
AIとブロックチェーンの関係にも言及した。AIが人間を上回る規模で価値を生み出す段階に入れば、制御や信頼を巡る問題が一段と大きくなり得ると警告した。
その上で、政府や銀行、Meta、Google、OpenAIよりも、スマートコントラクトとブロックチェーンの方が有効な防波堤になり得るとの見方を示した。
BitMineの事業状況についても明らかにした。同社は2025年6月30日で事業開始から1年を迎え、5年かかると見込んでいたETH供給量の5%確保目標について、12カ月で目標の95%を達成したと公表した。
保有するETHは574万枚で、全供給量の4.8%に相当する。このうち約85%に当たる487万ETHをステーキングしているという。
一方で、単一主体の保有比率が5%を超えることには慎重な姿勢も示した。エコシステム全体が強くなる方向を望むと述べた。