写真=10日、「全北・慶南 物理AI研究開発事業説明会」で説明するイ・ジュヌ氏(NIPA PM)/デジタルトゥデイ・Seulgi Son記者

政府は、総額1兆4000億ウォン規模の物理AI研究開発事業に、技術変化に応じて研究計画や実施体制を見直す「ムービングターゲット」方式を導入する。公募の段階から、技術変化をどう検知し、必要に応じて計画や参画機関、予算をどう調整するかまで提案を求める方針だ。

情報通信産業振興院(NIPA)で物理AI事業を担当するPMのイ・ジュヌ氏は10日、ソウル・上岩のヌリクムスクエアで開かれた「全北・慶南 物理AI研究開発事業説明会」で、「物理AIというキーワードが登場してまだ2年もたっていない一方、課題期間は4年5カ月に及ぶ。2年後も今の技術が主流かどうかは誰にも分からない」と述べた。

全北・慶南の物理AI研究開発事業は、2026年から2030年まで進める。全北は国費約5150億ウォン、地方費約861億ウォンに民間負担を加え、総額7300億ウォン規模を見込む。慶南は国費約4058億ウォンを含む総額6700億ウォン規模で計画している。

両事業の最終目標は、工場全体をAIで運用する「韓国型自律工場」のリファレンスを確立することにある。現場データを標準化し、PI-LAM、デジタルツイン、SDF-OCSを連携させることで、設備、工程、物流、品質を統合運用する。国内外の工場に展開できる「K-AI工場」パッケージとしての事業化も視野に入れる。

事業は計35の細部課題で構成する。慶南事業は、製造工程データの収集・実証、データパイプライン、PI-LAM、テストベッド、標準化などを担う23課題を5つの公募単位に整理した。全北事業は、工場運用プラットフォーム、デジタルツイン、基盤モデル、物流・セキュリティ、テストベッド、技術普及などを担う12課題を6単位で公募する。統合型課題では、総括課題と細部課題の参画機関が単一のコンソーシアムを組んで応募しなければならない。

◆固定型R&Dから転換、技術変化に応じて計画修正

今回の公募では、応募段階から技術変化の検知方法と、研究方向をどう調整するかまで示すことを求める。イ氏は、こうした計画の具体性も実施機関の選定評価に反映すると説明した。

イ氏は、ビジョン言語行動モデル(VLA)からワールドアクションモデル(WAM)へと技術トレンドが移る可能性を例に挙げ、「技術の方向性が変わったのに、既存計画をそのまま遂行することはできない」と述べた。さらに、「技術変化をどう見極め、どう計画に反映するかの設計が妥当であれば、選定後に実施計画の変更を認める。参画機関や予算も柔軟に見直す」とした。

NIPAは今後、総括・細部課題の責任者や地方自治体などが参加する協議体を設け、技術変化への対応や課題間の連携、参画機関・予算の見直しの必要性を議論する計画だ。

◆ヒューマノイドより工場運用基盤を重視

事業の焦点は、物理AIを構成する個別のハードウェアや単体モデルではなく、統合された知能化工場の運用技術の実装にある。

イ氏は「ヒューマノイドやグリッパーにはあまり関心がない。ロボット基盤モデルも今回の中心領域ではない。複雑な工場環境を自律運用するSDF-OCSに集中する」と語った。

データの収集、移動、管理にも予算を重点配分する。製造現場のデータを合成データと組み合わせ、エッジとクラウドの間で流通させるデータパイプラインを構築する。設備の老朽化や摩耗によってデータが変化する兆候を検知し、モデルを再学習させる仕組みも盛り込む。

イ氏は「物理AIではデータを最も重視している。実験室レベルにとどまらず、大規模データを実運用で扱う必要があるため、データパイプラインに大きな比重を置いた」と説明した。

評価では、従来の研究開発遂行実績の比重を下げる一方、実証・商用化の可能性、挑戦性、地域政策との整合性を重視する。民間負担比率は、慶南事業で総研究開発費の40%以上、全北事業で30%以上を満たす必要がある。

◆大規模コンソーシアムに大企業偏重の懸念

説明会では、課題規模の大きさと統合型公募方式によって、コンソーシアムが大企業中心になりかねないとの懸念も上がった。慶南事業の製造現場データ収集・実証分野では、13の細部課題を1つのコンソーシアムにまとめて応募する必要がある。複数技術と複数機関を同時に束ねる必要があるため、中小企業が総括機関を担いにくいとの指摘だ。

説明会に参加した企業関係者は「13課題を担うコンソーシアムを短期間で組成するのは難しい。総括役を担えるのは一部の大企業に限られ、特定の大企業向け事業になりかねない」と話した。

これに対しNIPA関係者は、「事業の統合性と課題間の整合性を確保するため、やむを得ず一括して公募した」と説明した。同一企業が複数課題に重複参加すること自体に制限は設けないが、評価過程で各機関の役割や参画の妥当性を確認する考えも示した。

この日の説明会には、MegazoneCloud、Naver Cloud、LG Electronics、LG CNS、Enhance、RaonSecure、Persona AI、KT、RealWorld、Flitto、Aim Intelligenceなどが参加した。Naver Cloudの関係者は「物理AI全般、とくにモデルとインフラ分野で事業参加の意思がある。適切な企業にコンソーシアム参加を打診している」と述べた。

キーワード

#物理AI #研究開発 #NIPA #デジタルツイン #SDF-OCS #PI-LAM #データパイプライン #韓国型自律工場
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.