メモリ半導体各社が市場予想を上回る業績見通しを示しても、株価はむしろ売られる――。足元の市場ではこうした動きが目立っている。背景には、半導体を典型的な景気循環株とみる見方に加え、供給拡大への警戒感がある。AI需要が今回の上昇局面を従来と異なるものに変えるのかが焦点になっている。
Goshawk Asset Managementのファンドマネジャー、サイモン・エデルステン氏は英Financial Timesに寄稿したコラムで、こうした足元の値動きを分析した。同氏は、半導体産業は本質的に好不況の波を繰り返す循環産業だと指摘している。
Samsung Electronicsは、直近の第2四半期の営業利益が前年同期比19倍になる見通しを示した。しかし、発表後の株価は10%下落した。Micronも四半期純利益が15倍に増えたと発表。直後こそ株価は15%上昇したものの、2週間後には発表前の水準を下回った。
エデルステン氏によると、Micronの株価には一定のパターンが見られる。2016年2月、2019年5月、2022年12月は買いの好機だったという。いずれも予想利益が赤字圏にあったか、株価収益率(PER)が極端に高い局面と重なっていた。
一方、2018年5月と2021年12月はPERが低く見えていたが、実際には売りの局面だった。
同氏は「利益がピーク時にあるとPERは低く見え、利益が底にあるとPERは高く見える」と説明する。
つまり、業績が最も良い局面で売り、業績が悪化している局面で買うべきだというのが同氏の見立てだ。
市場では、供給過剰への懸念もくすぶる。SK hynixは最近、米国預託証券(ADR)で280億ドルを調達した。目的は大規模な設備投資だ。エデルステン氏はこれについて、「過去のメモリ半導体サイクルを思い起こさせる」と述べた。
一方で、AI需要が今回は従来と異なるサイクルをもたらすとの見方もある。Micronの最高経営責任者(CEO)、サンジェイ・メフロトラ氏は、AI需要によって今回はサイクルが終わったと主張したが、市場の見方はなお慎重だという。
エデルステン氏は、最大の変数としてAIハイパースケーラーの売上成長を挙げる。「AI関連売上が大きく伸びるのは当然だ。問題は、その成長が巨額の投資負担を吸収できるほど十分かどうかだ」としたうえで、「市場はいま、AIが実際にどこまで業績に結び付くのか、具体的な裏付けを待っている」との見方を示した。
さらに同氏は2000年のドットコムバブルにも言及した。「当時はインターネットポータル株が崩れた後、Ciscoのようなネットワーク機器メーカーに物色が移った。しかし、こうした銘柄も結局は高値を更新できず、バブルは終わった」という。