商品写真1枚と複数の生成AIツールを組み合わせることで、TikTokやYouTube向けの約10秒の広告動画を、1本当たり約1ドル(約150円)の生成コストで制作できるという。Decryptが12日(現地時間)に報じた。
報道によると、ChatGPTの「GPT Image 2」、Google Flowの「Gemini Omni」、CapCutなどを使えば、追加の撮影なしに広告動画を作成できる。従来必要だった撮影スタッフや照明、撮り直しの工程を、商品写真とAIツールで代替できる可能性がある。
制作は、背景やウォーターマークを除去した商品写真を用意するところから始まる。その画像をChatGPTにアップロードし、商品を着用したり手に持ったりするモデル画像を生成する。プロンプトでは、形状や比率、色、質感、フィット感を維持し、商品そのものは変更しないよう条件を指定する。
続いて、ChatGPTで約10秒の動画台本を作成する。冒頭2秒で視聴者の関心を引き、低価格に触れた上で、最後は「下のショッピングカートを押してほしい」といった訴求で締める構成を指示する。さらに、台本をGoogle Flowで扱えるJSON形式に変換すれば、シーン展開やカメラワーク、セリフをより正確に反映しやすくなるという。
ただし、動画の構成が8秒分しかない場合、モデルが残り時間を埋めようとして同じ動きを繰り返すことがあり、生成結果の確認が必要になる。
動画生成にはGemini Omniを使う。音声付きで最大10秒の動画を生成でき、参照画像を追加で添付することも可能だ。開発者向けAPIの費用は1秒当たり0.10ドル(約15円)で、10秒動画1本なら約1ドルに収まる計算になる。
生成された動画には、AI生成コンテンツを識別するための不可視ウォーターマーク「SynthID」が付与される。
仕上げの編集はCapCutで行う。不要な文言や不自然な反復動作をカットし、字幕を追加する。TikTokでよく使われる単語単位のアニメーション字幕は有料機能だが、手動で字幕を入力するだけなら無料で対応できるという。
初回の生成結果に満足できない場合は、数回作り直すことも可能だ。一方で、編集で修正できる範囲であれば、追加のクレジットを使わずに済むとしている。
もっとも、AI広告には各プラットフォームの表示ルールへの対応が欠かせない。TikTokとYouTubeは、現実と見分けがつきにくいAI生成の画像・音声・動画について、ラベル表示またはAI利用の開示を求めている。あわせて、商業目的かどうか、有料プロモーションを含むかどうかも別途開示する必要がある。
X(旧Twitter)は、合成・改変メディアを禁止している一方、広告向けのAI画像・動画・音声を明示的に禁じているわけではないという。
商品撮影から台本作成、動画生成、編集までをAIツールで代替できれば、限られた予算でも広告動画を素早く試せる環境が広がりそうだ。ただし、プラットフォームごとのAIコンテンツ表示ルールに違反すれば、ペナルティーの対象となる可能性があるため、掲載前に関連ポリシーを確認する必要がある。