ローソンは8月、円連動ステーブルコイン「JPYC」を使った店頭決済の実証を始める。KDDIが運営する店舗でPOSと連携させ、バーコード決済にかかる時間や既存レジシステムでの運用可否を検証する。コンビニのPOSに直接つないで行うステーブルコイン決済の実証は、国内初としている。
CoinPostが13日、日本経済新聞の報道として伝えた。
実証は8月上旬、KDDIが運営する「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」で実施する予定だ。デジタル資産ウォレット企業のHashPortと共同で進め、利用者はスマートフォンのウォレット画面に表示したバーコードを提示して支払う。
店舗側がPOS端末でバーコードを読み取ると、HashPortが決済情報に基づいてJPYC残高を更新する仕組みだ。
ローソンは今回の実証で、POSシステムとの連携可否や実際の決済時間を検証する。既存の店頭会計システムの中で、ステーブルコイン決済が問題なく機能するかどうかを確認する狙いがある。
背景には、KDDIとHashPortの資本業務提携がある。KDDIは2025年10月、HashPortと資本業務提携を結び、第三者割当増資を通じて発行株式の20%超を取得した。これにより、HashPortはKDDIの持分法適用会社となった。
KDDI運営店舗でHashPortと実証を行うのも、こうした協業の一環とみられる。
JPYC決済の実証自体は今回が初めてではない。4月には、お好み焼き専門店「ジボ」の大阪2店舗で先行実験が行われた。7月には、東京と千葉の歯科医院での導入も予定されている。
一方、コンビニのレジPOSに直接接続して検証する方式は、ローソンが初めてだという。決済インフラ拡大の可否を占う試金石となりそうだ。
日本では、ステーブルコインの発行と決済利用を巡る動きも活発化している。三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクは、2026年度中の共同発行実現を目標に協議体を立ち上げる方針と伝えられている。
2026年2月に金融庁へ届け出た、野村證券と大和証券を含む枠組みも活用する計画だという。
信託型ステーブルコインの発行も始まっている。SBI Holdingsがシンガポールのスタテイルグループと共同開発したJPYSCは、6月24日に発行された。発行者はSBI新生信託銀行で、取り扱いはSBI VCトレードが担う。まずはVCトレードの口座内に限定して提供している。
Resona Holdingsも、JCBとDigital Garageとともに個人向けステーブルコイン決済の商用化を進めている。一部のJCB加盟店で実証を進めており、2027年度の実用化を視野に入れる。
市場規模の見通しも拡大している。Citigroupは世界のステーブルコイン市場について、2025年の2820億ドルから、2030年には1兆9000億〜4兆ドルに拡大し得ると推計した。
こうした流れの中で、ローソンの実証は、日本の流通現場でステーブルコイン決済を実際のレジシステムに組み込めるかを見極める事例として注目を集めそうだ。