暗号資産市場のルールを立法で定めるのか、規制当局の裁量に委ねるのかが焦点だ(写真=Shutterstock)

米商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル・セリグ委員長は、暗号資産市場構造法案「CLARITY法」の早期成立を議会に求めた。審議がさらに遅れれば、連邦レベルの包括的な規制枠組みが整わないまま、個別の規制当局による判断に委ねられる余地が広がると警告した。

ブロックチェーンメディアのCoinpostが10日(現地時間)に報じたところによると、セリグ委員長はFox Businessのインタビューで、CLARITY法の成立は「議会にとって喫緊の課題だ」と強調した。

セリグ委員長は、米国の暗号資産規制が州ごとに分かれており、事業者の負担になっていると指摘した。法案審議は最終段階に近づいているとした上で、法的確実性の確保と規制の明確化、消費者保護の観点から、超党派での合意形成が必要だと訴えた。

また、立法が遅れれば規制当局の裁量が過度に広がりかねないとも述べた。セリグ委員長は「議会が立法できなければ、私のような規制当局者がルールを作ることになる」と語り、「民主党も、すべてを規制当局の判断に委ねるより、超党派法案の成立を望むはずだ」との見方を示した。

上院では現在、法案の細部を巡る最終調整が続いている。セリグ委員長は、民主党がドナルド・トランプ大統領一族の暗号資産事業に関連する倫理規定の追加を求めていることが、主要な論点の一つになっていると説明した。

こうした議論が法案本来の目的から広がり過ぎれば、超党派立法の機会を損なう恐れがあるとの懸念も示した。

上院銀行委員会のデジタル資産小委員会を率いるシンシア・ルミス上院議員も、交渉は大筋で詰めの段階に入っていると明らかにした。

ルミス議員は、昨年9月以降、数千時間に及ぶ交渉が続いてきたと説明した。最大の争点は、銀行業界が求めた「GENIUS法」の修正案をどう扱うかだったといい、関係者との協議を通じて多くの論点で妥協点を探ってきたと付け加えた。

もっとも、上院での協議はなお継続中だ。DeFi規制や不正資金対策、倫理規定などを巡る調整が残っており、現在は法案文案を公表し、議員や関係者が最終確認する段階に入ったという。

ルミス議員は、法案審議が7月中に前進する可能性があるとの見通しも示した。

CLARITY法は昨年7月に下院を超党派で通過し、現在は上院で審査されている。今年に入ってからは、ステーブルコインの収益制限、DeFi規制、不正資金対策、開発者保護条項に当たる第604条が主要な争点として浮上した。

5月には、ティム・スコット上院銀行委員長の主導で修正手続きが進められ、委員会では賛成15、反対9で可決された。

第604条に盛り込まれたブロックチェーン規制確実性法案(BRCA)は、ノンカストディ型のブロックチェーン開発者やバリデーターを、銀行秘密法(BSA)上の送金業者に分類しないことを明確にする内容だ。暗号資産業界は、これにより開発者の法的確実性が高まり、米国内のイノベーション流出を防ぐ効果があると評価している。

一方で、一部の法執行機関団体は、この条項によってマネーロンダリングや制裁逃れに使われる資金の追跡が難しくなる恐れがあるとして懸念を表明している。ただ、全米黒人法執行幹部協会はBRCAを含む法案全体を支持しており、主要な郡保安官団体であるMCSAも今月初め、従来の反対姿勢から中立へと立場を変えた。

上院でも、開発者保護条項を維持すべきだとの声は根強い。民主党のロン・ワイデン上院議員は7日、上院指導部に送った書簡でBRCAの維持を求めた。

ワイデン議員は、この条項について、司法省と金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)の従来方針を法律上明確にするものだと説明した。その上で、捜査資源を無許可送金業者など実際の違法行為者に集中させるのに役立つと主張した。

CLARITY法の行方は、上院本会議での採決まで続く超党派交渉の結果に左右される見通しだ。倫理規定、DeFi規制、不正資金対策、開発者保護条項を巡る折り合いがつけば、米国の暗号資産市場を巡る規制の枠組み整備が大きく前進する可能性がある。

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