Trump Mobile初のスマートフォン「T1」が、同価格帯のGoogle Pixel 10aとの実機比較で、性能やバッテリー駆動時間、画面輝度などの主要項目で見劣りすることが分かった。検証はLTT Labsが実施した。
Gigazineが10日(現地時間)に報じたところによると、LTT Labsはこのほど、T1のベンチマーク、バッテリー、ディスプレイに関する測定結果を公開した。
今回のテストは、499ドル(約7万4850円)クラスのミドルレンジ機を対象に実施され、比較対象にはGoogle Pixel 10aが選ばれた。これまでの分析では、T1はHTC U24 Proと実質的に同じハードウェア構成を採るとの見方も出ている。
処理性能の差はベンチマークで明確に表れた。Geekbench 6では、T1のシングルコア性能はPixel 10aの約68%、マルチコア性能は約76%にとどまった。
グラフィックス性能の差はさらに大きい。3DMark Steel Nomad Lightでは、T1のスコアはPixel 10aの半分程度だった。AnTuTuベンチマークでも、T1はCPUがPixel 10aの約70%、GPUが56%という結果で、メモリとユーザー体験のスコアもそれぞれ83%、75%にとどまった。
T1の搭載チップセットは公式には明らかにされていない。ただ、他のレビュアーによる分析や、AIDA64、AnTuTu、Geekbench 6などのハードウェア情報アプリの結果を総合すると、QualcommのSnapdragon 7 Gen 3を採用している可能性が高い。
HTC U24 Proも同じチップセットを採用している。ストレステストでは目立った性能低下やサーマルスロットリングは確認されなかったが、LTT Labsはこれを放熱設計の優秀さを示す材料とは見ていない。研究チームは「そもそも下がるほどの性能がない」と指摘し、ベースとなる処理性能自体が高くない点を挙げた。
バッテリー性能でもT1はPixel 10aに及ばなかった。T1のバッテリー容量は5000mAh、Pixel 10aは5100mAhで、大きな差はないものの、実際の駆動時間には9時間以上の開きがあったという。一方、充電時間ではT1が上回った。フル充電までにかかった時間は、T1が68分、Pixel 10aが102分だった。
ディスプレイはT1の最大の弱点として挙げられた。最大輝度はSDR設定でT1が740ニトだったのに対し、Pixel 10aは4083ニトに達した。
自動輝度調整の挙動も滑らかさを欠いた。LTT Labsによると、輝度スライダーは実質的に49%、64%、100%の3段階でしか切り替わらず、完全な暗所でも49%未満には下がらなかったという。
一方で、製品全体の評価が一方的に低いわけではない。LTT Labsは「悪い点ばかりではなく、ほとんどの機能は大きな問題なく使える」としている。曲面ガラスはSamsung ElectronicsのGalaxy S9を想起させ、この価格帯としてはカメラ仕様も比較的良好だと評価した。
基本アプリ構成がすっきりしている点も長所として挙げた。研究チームは、プリインストールされた不要なアプリがほとんどなかった点が印象的だったと指摘した。最近では搭載例が減っている3.5mmヘッドホンジャックも、プラス材料として評価された。
今回の検証では、T1がブランドとしての話題性とは裏腹に、ハードウェア競争力の面では同価格帯の競合機に明確な優位を示せなかったことが浮き彫りになった。とりわけバッテリー駆動時間、ディスプレイ輝度、グラフィックス性能では差が大きく、製品価値を見極めるうえで基礎性能が改めて問われる形となった。